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おんたけウルトラ2016 レース②

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第3関門で荷物を受け取ったとたん、ふたたび大雨が降りだした。 冷えるのを防ぐため、レインウェアを着る。ドロップバッグに入れておいた、折りたたみの椅子に座り、作業開始。

流動食を飲んでから、装備の詰替えを行う。土砂降りなので着替えはしない。股ずれも起きていない。

ジェルは思ったほど使っていなかった。TOPSPEEDは残り3つ、おかげで眠気は全くきていない。これはケチらずもっと持ってくるべきだった。 この時点で、Ambit 3 の充電は50%。行けそうだが、予備として元祖Ambit もザックに入れておく。

出発しようと荷物を返した時、100kmに出ている Seiji さんに会い、お互いの健闘を祈る。 エイドでの消費時間は15分。ほぼ予定通りの10時05分発。ようやく完走がみえてきた。

第3関門〜第3小エイド

脚は快調、関門で再会、そして足首が腫れてくる f:id:live-simply:20160804063950p:plain

快調

第4関門まで15km、アップダウンを繰り返したのちに、関門まで長い下りが続くセクション。 歩いた方が早いなら、合理的に早歩きを選ぶ。フラットや下りで走る時も、ポールを突くことで脚の温存を心がける。 だんだん無心になってきていて、走りを追求するマシーンになってくる。遠くまで凹凸の少ないルートが浮かんできて、正確にそれをトレースすることの繰り返し。 同じ風景がデジャヴのように繰り返す、と嫌う人もあるけれど、同じような風景なら採るべきラインも似たようなもので、すこし楽ができる。

第4関門

f:id:live-simply:20160804115242j:plain:w160:right 4-5kmの長い下りを抜けると第4関門。12時すこし前に到着、予定通り。 そうめんを食べ、補給をしていると、第3関門で別れたSeijiさんが入ってくる。熱くベーゼを交わし、お互いの健闘を讃えて出発。 彼には「14時間達成できるんじゃないの」と半分冗談で言ったのだけれど、100kmではここからの2コブ山が辛かった思い出がある。

足首が腫れてくる

ひとつ目の山を登り終えると、車が止まっていて、左手にはコーンが並べられている。そうか、ここが3ループ目の合流地点なんだな、と気づく。 ふたつ目の山を超え、小エイドへの長い下りが始まる。この下りの途中で、急に着地の筋力が落ち始める。ポールで和らげつつ、淡々と足場のよいところを静かに探してゆく。目も耳も、手も足も、ただ走るためだけの協調したマシーンになりきる。

「走る坐禅」、そうのように鏑木さんが表現したと聞くけれど、この感情が消えているのにもかかわらず、満たされている感覚は、とても静か。明鏡止水ってこういうのものなんだろうか。

ふと左方を見ると深い谷となっている。それは王滝方向へ続いていて、3ループ最後の登りの厳しさを想像させてくれる。 どうもペースが落ちてきたな、足首が腫れてきて曲げるとつかえて痛い。

第3小エイド〜ゴール

無限坂、そして下り、ゴール f:id:live-simply:20160804064053p:plain

14時ちょうど、130km第3小エイドに到着。最後のループチェックが入る。3つめのチェックを入れてもらうのは、ずっと憧れだった。ここからさっき車がおいてあったところまで戻る8kmの直登があり、そこから12km下ってくると、第4小エイド。つまりここだ。 手早く補給を済ませ、最後のループに入る。

無限坂

「あそこは無限坂だよ」と聞いていた。高低図でみても8%の坂が8kmほど続き、最大の難所でもある。この坂を前にして、リタイアを申告するものもある、とブリーフィングでも言っていたのを思い出す。

ふだん使われてなさそうな林道。登り始めると単に傾斜が急なだけではないことが分かる。足元の砕石が崩れやすく、前に進まない感覚にとらわれる。雨は上がっており、ときおりの晴れ間が蒸し暑さを増す。思ったように進まず、疲れが溜まっていく。水がなくなり、岩からしみ出る水を汲む。大丈夫じゃないかもしれないが、もはやゴールまで保てばよい。忍耐のウォーキングが1時間ほど続き、スイッチバックが見えてくる。ようやくピークに来たと感じる。まだ15時半、思ったより早く着いたぞ、と。

しかし、早とちりだった。終わりではなかった。「いつまで続くんだろう、この坂。。。」ここにきて初めて、うんざりさせられた。 結局この登りはさらに1km以上続き、ほんとうのピークには予定通りの16時に到着。ジェルを1つ食べながらすこし休憩し、最後の下りに入る。

長い下り

f:id:live-simply:20160804172313p:plain:right:h240 下り始めると、脚が終わってきていることが知れる。筋肉痛はまったく感じないのが不思議だが、足首の腫れはひどくなりますます屈曲しなくなっている。足首、膝、股関節は連動しているから、足首が曲がらないことで着地のダメージはストレートに骨盤まで響く。ポールをまっすぐ突きながら、できるだけペースを落とさないように進むが、思っている以上にペースは落ちている。合流地点に到着したときには、あの車はもう居なかった。

キロ7の感覚なのに、時計をみると8半と、ペースが落ちている。しばらくすると車がゆっくり走っていて、100kmの最終ランナーだと分かる。これより早ければ、20時にはゴールにつけるラインだということになる。先に行かせてもらう。

足首は痛いというより曲がらないの不便さ。130kmまでは100kmの延長として行ける。3ループに入ってからが本番で、このために130kmがあったのだ。100マイル150kmの看板を過ぎ、つづらおりの急坂を下り、橋を渡り、ようやく最後の小エイドに帰ってきた。

そしてゴール

第4関門、17時40分。予定より20分遅れ。あと10kmもないところだが、ボトルに給水する。一昨年は補給を怠って脱水になり、脇の畑の用水みたいなのを飲んだ経験がある。

ここからロードに出るまでは、まだすこし林道が続く。ゆるい登りに感じられるところまでくると、自然に歩いてしまった。空は晴れてきていて、木々の葉の間から青空も見える。

「もうすぐゴールなんだ」

もうこの旅が終わる、お別れなんだ、という寂しさが心の中に流れ込んできた時、瞑想のランニングマシーンは終わってしまった。

このままゴールまで歩くのもいいか。 しばらく風景を眺めながら歩き、舗装路までやってきた。

ふたたび身体が走りだす。 会場のコールが遠くから聞こえてくる。

映画が終わったときのような感覚のまま、走る。100kmの人たちが応援してくれる。「もうすぐ終わっちゃうんだよー」と返すと、「え、まだ走りたいんですか?」「もう一周行きますか」と爆笑される。「当分はいいかな・・・」

そろそろ松原スポーツ公園のはずなのに、という森をくぐると、目の前に 黄色いパワーバーの旗が並んだ橋が飛び出してくる。 帰りの人たちが応援してくれる。車をとめて手を降ってくれる人もいる。 ここはポールで力強く加速しながら、最後の坂を登り切る。

20時間27分ゴール。

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