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鎮痛薬はウルトラマラソンでの腎障害に関係するという話題

スタンフォード大学のニュース記事の紹介。 ウルトラランナーの75%が痛みや腫れを軽減するために、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)を使用しているとのことで、急性腎障害のほとんどは自然に回復するものの、場合によっては腎不全に進行する可能性があると注意を喚起しています。

原文はこちらです。 med.stanford.edu



ここから、概約となります。

この研究は、スタンフォード大学のグラント・リップマン准教授らによるものです。 彼自身もウルトラランナーで、Racing the Planet の医療マネージャーも務めています(サハラやゴビ、そして南極の250kmマラソンの主催者です)。

リップマン氏はかつて、イブプロフェンは腎臓の血流を減らすから注意するように、と医学部の授業で習ったといいます。しかし、これまでの研究は、ランナーに悪影響がないことを示していました。



そこで、リップマン准教授らは、Racing the Planet の 250kmウルトラで実験を行いました。 ランナーに協力してもらい、4時間毎に400mgのイブプロフェンを飲む人と、砂糖玉を飲む人に分けて比較することにしました。 ゴール後、ランナーの腎機能が計測したところ、イブプロフェンを飲まなかった人にも腎障害はみられましたが、飲んだ人の方がさらに高まる結果となりました。

リップマン准教授らは、イブプロフェンを飲むと、5人に1人の割合で、急性腎障害が増えるとの結論に達しました。

「ただし、この研究は持久競技を対象としたもので、一般的な使い方に口出しするものではない。ウルトラや、他のエンデュランススポーツでは、イブプロフェンを服用することは慎重でなければならない」とコメントしています。

ウルトラランナーのリスク

もともとウルトラランナーは、急性腎障害のきっかけとなる、脱水症状を起こしやすい状況におかれています。脱水症状により血液の量が減少することや、ダメージを受けている筋肉から流出した物質が、腎臓に負担を与えます。

この研究でも、イブプロフェンの有無にかかわらず、ランナー全体の34~85%で急性の腎障害が確認されました。
こうした状況に、さらにイブプロフェン(NSAIDs)が加わると、その危険性がさらに高まるというのが、この研究が示すところです。

リップマン氏は、ほとんどの場合、急性腎障害はレース後1〜2日のうちに回復するものの、場合によっては入院するケースもある、と述べています。

自分自身でもイブプロフェンを使ってきたというリップマン氏は、これからはアセトアミノフェンとアイシングに切り替えることにした、とのことです。

「エクストリームスポーツなのに、痛みを和らげよう、ってのは皮肉な話だけど、痛みを和らげたいというのなら、アセトアミノフェンにしたほうがいいね」



ここまで、概約となります。

まとめ

この実験で使われたイブプロフェンの量は、日本での用量よりもはるかに多いものであり、過酷な砂漠のレースで行われたため、そのまま私たちに当てはめることはできないかもしれません。

しかし、原文中で「一般用医薬品が、ウルトラマラソンに流用されるケースについて、もっと研究されるほうがよい」と、UC-Davisのスポーツ医学准教授がコメントしているとおり、市販薬はエンデュランス競技で使われる設計にはなっていません

また、ウルトラマラソンやトレイルランのシーンでは、すぐに十分な医療体制が受けられるとは限りませんから、レースディレクターの立場としては、より安全なものを使ってほしいと願うのは当然のことと思われます。

リップマン准教授が言うように、イブプロフェンの一般的な使い方は問題ないけれど、エンデュランス系の競技においては、よりマシな選択肢であるアセトアミノフェンがある以上、NSAIDsの使用は慎重であるべきだと感じた記事でした。




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