メチロンのトレラン日記

データオタクの損か得かで考える雑な薬剤師がトレランするブログ

ランニングでザック荷重した時の適正ペースを算出する方法

トレイルランニングは、必携装備品があるため、どうしても重くなりがちです。

潰れてしまった、、、という苦い経験もあるのではないでしょうか。

どれだけペースダウンすれば安全なのか、目安を知っておく価値はあります。

ここでは、装備重量でどれだけペースダウンするかを、酸素摂取量から考えてみました。

装備が重くなった時、どれだけペースを落とせばいいのでしょうか。

まずシンプルに、フルマラソンで考えてみましょう。軽いほうが有利だというのは、実感としてもわかりますよね。

実際に、体重あたりの酸素摂取量は、速度に比例することが知られています。

走パワーは、どれだけ酸素を使っているかで表せる、ということです。

参考にするテキストは、田中教授の『ランニングする前に読む本』の第三章です。

今回は、第三章の章末を取り上げましたが、ウルトラやトレランのヒントにもなる科学的な説明がたくさん詰まってます。

フルマラソンの酸素摂取量から推定する

第三章・章末付録の式[a]を、分かりやすくペース表記に変形したものが以下の式です。

ランニングペースを、x' (分/km)、体重あたりの酸素摂取量を、y (ml/kg/分) とすると、次の関係になると知られています。


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電卓なら、200をペースで割り、3.5を足すと、体重1kgあたりの酸素摂取量が計算されるというわけです。

ここで、体重が60キロで、フルマラソンをキロ5分で完走できる人がいるとします。ちょうどサブ3.5の走力ですね。


この時、 体重1kgあたりの酸素摂取量は

200 ÷ 5 + 3.5 = 43.5(ml/kg/分)

(お行儀悪いですが、見にくいので結果以外の単位は省略します)


体重が60kgありますから、

43.5 ✕ 60 = 2,610(ml/分)

1分あたり、2,610mlの酸素を使ったエネルギーを生み出していることが分かります。これが、この人の走力なわけです。


では、この走力のままで、5kgの装備を背負って走ったときを想像してみます。重心とかフォームの乱れは考慮しません。

2,610 ÷ (60+5) ≒ 40.2(ml/kg/分)

すると、装備を含めた体重1kgあたりの出力は、40.2に下がることになります。

装備はエネルギーを生みませんから、下がるのは納得できますね。


最初の [a']式の y に 40.2を入れ、推定ペースxを求めると、

x ≒ 5.5(分/km)

となります。

1キロ5.5分=5分30秒ですから、+5kgの装備は、サブ3.5→サブ4相当にパワーダウンすると想像できます。

まとめ

例えば UTMF の装備を想像したとき、体重60kg・サブ3.5の人が、サブ4ぐらいになっちゃうイメージです。

今回はフルマラソンのレースペースでの考察でしたが、トレランだと山あり谷あり悪天候ありで、さらに開きが大きくなります。

心拍計を持っている方は、荷重のある・なしで、どれだけ心拍数に負荷がかかるのか、同じ心拍数になるにはペースをどれだけ落とすのか、を実測するとよいでしょう。

ふだんはフル装備で練習できなくても、パワーダウンの目安をあらかじめ知っておくと心が楽になるのではないでしょうか。