Suuntoの新製品、Spartan Trainer、いままでに比べると、格安の印象があります。
はたして、その精度はどれぐらいでしょうか。GPSと光学式心拍計を中心に、競合機種と比較してみました。
今回も、DC Rainmakerさんの解析ツールを使っています。
ロードのジョギング
従来の光学式である、Spartan Sports Wrist HR、そしてライバル機となる、ガーミンのForeAthlete 935 も同時に計測してみました。
右腕にスパルタンWHR、左腕にトレーナーと、FA935を装着しました。
キロ6で、1時間弱のジョギングを行いました。
上空の開けた郊外で、直線区間、曲線区間がほどよく含まれ、信号が少ないフィールドです。
結果のサマリー
機種 | 距離 | 平均心拍 |
---|---|---|
Trainer | 8.68km | 129bpm |
Sports WHR | 8.51Km | 128bpm |
FA935 | 8.54km | 130bpm |
心拍計の詳細
スタートから数分間は、数値が乱れる傾向にありますが、ウォーミングアップが完了すれば、どの機種も同じ数値を示します。
赤がトレーナー、緑がSports WHR、青がFA935です。
スタート直後を拡大してみると、
走り始めた直後は数字が乱れるものの、3分も経たないうちに、安定しています。
時計というより、身体側の問題も大きいでしょう。
光学式は、血圧の変化で脈をカウントしているため、腕の振り方や、血液の流れに大きく影響を受けます。
いまや、精度はベルト式に遜色ないレベルになっていますが、心拍を重視したトレーニングは、ウォーミングアップを済ませた方が、より正確になるでしょう。
GPSログの詳細
走行の軌跡は、どの機種も、直線・曲線ともに道路から大きく外れることはありませんでした。
赤がトレーナー、緑がSports WHR、青がFA935です。
トレーナーについては、ノコギリ型の軌跡がわずかに見られます。
拡大すると、
このように、腕振りの影響とみられるノコギリ型の軌跡が現れます。
これは、発売直後のモデルにはよく見られる現象で、走行データがメーカーに集積されるにつれ、ソフトウェア・アップデートで改善される類です。
スパルタン・トレーナーは、GPSのチップが変更されたものの、精度については特に心配することはなさそうです。
バッテリー消費
バッテリー消費時間は、スポーツWHRとトレーナー、ともに1時間あたり 10%減 ぐらいでした。
どちらも、GPSはBest(1秒単位の高感度)、ディスプレイの省電力はOFFの条件と、いちばん厳しい条件での測定です。
機種 | 変化 | 消費率 |
---|---|---|
Trainer | 85→75 | -10% |
Sports WHR | 99→90 | -9% |
カタログスペックの8時間程度はクリアーしてそうですね。
省電力状態は、また後日、測定して更新します。
里山でのトレイルラン
スパルタン・トレーナーは、気圧計を内蔵していないため、獲得標高の正確さが気になるところです。
そこで、里山のトレイルで確認してみました。
3メーカー、4機種を同時に測定した結果です。
結果のサマリー
機種 | 距離 | 平均心拍数 |
---|---|---|
Suunto Spartan Trainer |
14.26km | 128bpm 光学式 |
Suunto Spartan Ultra |
13.35km | 128bpm 胸部ベルト式 |
Garmin ForeAthlete 935 |
13.16km | 129bpm 光学式 |
Epson MZ-500 |
12.62km |
光学式心拍計
まず、光学式の心拍計です。
スパルタン・ウルトラは、胸部ベルト式で測定していますが、ほぼ一致するという結果となりました。
赤がウルトラ、青がトレーナーです。
ダウンヒルでも、まったく数値が暴れることがありませんでした。
同じスントの製品であるにも関わらず、スポーツWHRは、ダウンヒルで数値が暴れる現象が見られます。
この現象について、着地衝撃の大きなダウンヒルでは、時計の重さによる慣性が、脈拍の誤検出になるとの説が有力です。
獲得標高
機種 | 獲得高度 | 気圧補正 |
---|---|---|
Suunto Spartan Trainer |
553m | なし |
Suunto Spartan Ultra |
641m | あり |
Garmin ForeAthlete 935 |
651m | あり |
Epson MZ-500 |
647m | あり |
やはり、気圧高度計の有無は、獲得標高に影響するようです。
見た目の高度プロファイルは、大きくは違わないのですけどね、、、
スパルタン・トレーナーの画面
代表して、スパルタン・ウルトラの画面
拡大してみると、違いが分かるようになります。
赤がウルトラ、青がトレーナーです。
スタートから高度450m付近までは一本調子のロードの上り坂です。
ここで、トレーナーは階段状に上昇していることが分かります。衛星測位システムは、高度方向の精度は高くないことによるものです。
これは、スパルタンスポーツWHRでも見られた現象です。
V字に折り返すポイントを中心に、きっちり測りきれず、角が甘くなってるのが分かりますね。
獲得高度を重視するなら気圧補正の機能は不可欠ですが、この特性を理解していれば、十分にトレランでも耐える性能は持ってます。
GPSマップ精度
トレイルでも、腕振りの影響とみられる現象がありました。
こちらも、次回のファームウェアアップデートで修正される程度のもので、ほぼ一致すると考えて良さそうです。
ロードの登りとヘアピン部での挙動
森に囲まれた谷のトレイル部
総距離は、ウルトラが 13.35km、トレーナーが14.26km と、トレーナーが長めに計測されています。
落ち着いた反応のウルトラに比べると、まだすこし過敏な分だけ、距離も少し長めに出るようです。
光学式心拍計のインターバル追従性
では、心拍数が急変動する、インターバルではどうでしょうか。
基準として胸部ベルト式、およびライバル機であるForeAthlete935と同時に、タバタプロトコルで試してみました。
10分のウォーミングアップ後、バイクにて20秒ー10秒の厳密なタバタを行った結果です。
ほぼおなじ形を示しており、平均心拍数は各機とも127bpm、トレーニングエフェクトもほぼおなじ値を示しました。
インターバルや、タバタにおいても、もはや胸部ベルトは不要かもしれないレベルです。
まとめ
以上、ロードやトレイル、インターバルといった様々なシチュエーションを確認してみました。
最新式の光学式でも、腕への装着位置や、ハンドルを持つときの力の入れ方、ランニング時の腕の振り方による影響はあります。
しかし、平均心拍数やトレーニング効果を見る限り、もはや胸部ベルト式は不要かもしれません。
当機は、ファームウェアに荒削りさを感じるものの、高級機に負けないポテンシャルを持っています。 かなりコストパフォーマンスの高いモデルだと思います。
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