メチロンのトレラン日記

データオタクの損か得かで考える雑な薬剤師がトレランするブログ

スパルタン・トレーナーのGPS&心拍計の精度を測定する

Suuntoの新製品、Spartan Trainer、いままでに比べると、格安の印象があります。

はたして、その精度はどれぐらいでしょうか。GPSと光学式心拍計を中心に、競合機種と比較してみました。

今回も、DC Rainmakerさんの解析ツールを使っています。

ロードのジョギング

従来の光学式である、Spartan Sports Wrist HR、そしてライバル機となる、ガーミンのForeAthlete 935 も同時に計測してみました。

右腕にスパルタンWHR、左腕にトレーナーと、FA935を装着しました。

キロ6で、1時間弱のジョギングを行いました。
上空の開けた郊外で、直線区間、曲線区間がほどよく含まれ、信号が少ないフィールドです。

結果のサマリー

機種 距離 平均心拍
Trainer 8.68km 129bpm
Sports WHR 8.51Km 128bpm
FA935 8.54km 130bpm

心拍計の詳細

スタートから数分間は、数値が乱れる傾向にありますが、ウォーミングアップが完了すれば、どの機種も同じ数値を示します。

赤がトレーナー緑がSports WHR青がFA935です。 f:id:live-simply:20171006173841p:plain


スタート直後を拡大してみると、


f:id:live-simply:20171006174212p:plain


走り始めた直後は数字が乱れるものの、3分も経たないうちに、安定しています。

時計というより、身体側の問題も大きいでしょう。

光学式は、血圧の変化で脈をカウントしているため、腕の振り方や、血液の流れに大きく影響を受けます。

いまや、精度はベルト式に遜色ないレベルになっていますが、心拍を重視したトレーニングは、ウォーミングアップを済ませた方が、より正確になるでしょう。

GPSログの詳細

走行の軌跡は、どの機種も、直線・曲線ともに道路から大きく外れることはありませんでした。

赤がトレーナー緑がSports WHR青がFA935です。 f:id:live-simply:20171006175154p:plain


トレーナーについては、ノコギリ型の軌跡がわずかに見られます。

拡大すると、


f:id:live-simply:20171006175210p:plain


このように、腕振りの影響とみられるノコギリ型の軌跡が現れます。

これは、発売直後のモデルにはよく見られる現象で、走行データがメーカーに集積されるにつれ、ソフトウェア・アップデートで改善される類です。

スパルタン・トレーナーは、GPSのチップが変更されたものの、精度については特に心配することはなさそうです。

バッテリー消費

バッテリー消費時間は、スポーツWHRとトレーナー、ともに1時間あたり 10%減 ぐらいでした。

どちらも、GPSはBest(1秒単位の高感度)、ディスプレイの省電力はOFFの条件と、いちばん厳しい条件での測定です。

機種 変化 消費率
Trainer 85→75 -10%
Sports WHR 99→90 -9%

カタログスペックの8時間程度はクリアーしてそうですね。

省電力状態は、また後日、測定して更新します。

里山でのトレイルラン

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スパルタン・トレーナーは、気圧計を内蔵していないため、獲得標高の正確さが気になるところです。

そこで、里山のトレイルで確認してみました。

3メーカー、4機種を同時に測定した結果です。

結果のサマリー

機種 距離 平均心拍数
Suunto
Spartan Trainer
14.26km 128bpm
光学式
Suunto
Spartan Ultra
13.35km 128bpm
胸部ベルト式
Garmin
ForeAthlete 935
13.16km 129bpm
光学式
Epson
MZ-500
12.62km
-

光学式心拍計

まず、光学式の心拍計です。

スパルタン・ウルトラは、胸部ベルト式で測定していますが、ほぼ一致するという結果となりました。

赤がウルトラ青がトレーナーです。

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ダウンヒルでも、まったく数値が暴れることがありませんでした。

同じスントの製品であるにも関わらず、スポーツWHRは、ダウンヒルで数値が暴れる現象が見られます。

この現象について、着地衝撃の大きなダウンヒルでは、時計の重さによる慣性が、脈拍の誤検出になるとの説が有力です。

獲得標高

機種 獲得高度 気圧補正
Suunto
Spartan Trainer
553m なし
Suunto
Spartan Ultra
641m あり
Garmin
ForeAthlete 935
651m あり
Epson
MZ-500
647m あり

やはり、気圧高度計の有無は、獲得標高に影響するようです。

見た目の高度プロファイルは、大きくは違わないのですけどね、、、


スパルタン・トレーナーの画面 f:id:live-simply:20171014064840j:plain:w320


代表して、スパルタン・ウルトラの画面 f:id:live-simply:20171014063208j:plain:w320


拡大してみると、違いが分かるようになります。

赤がウルトラ青がトレーナーです。 f:id:live-simply:20171013182558p:plain

スタートから高度450m付近までは一本調子のロードの上り坂です。

ここで、トレーナーは階段状に上昇していることが分かります。衛星測位システムは、高度方向の精度は高くないことによるものです。
これは、スパルタンスポーツWHRでも見られた現象です。

V字に折り返すポイントを中心に、きっちり測りきれず、角が甘くなってるのが分かりますね。

獲得高度を重視するなら気圧補正の機能は不可欠ですが、この特性を理解していれば、十分にトレランでも耐える性能は持ってます。

GPSマップ精度

トレイルでも、腕振りの影響とみられる現象がありました。

こちらも、次回のファームウェアアップデートで修正される程度のもので、ほぼ一致すると考えて良さそうです。

ロードの登りとヘアピン部での挙動

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森に囲まれた谷のトレイル部


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総距離は、ウルトラが 13.35km、トレーナーが14.26km と、トレーナーが長めに計測されています。

落ち着いた反応のウルトラに比べると、まだすこし過敏な分だけ、距離も少し長めに出るようです。

光学式心拍計のインターバル追従性

では、心拍数が急変動する、インターバルではどうでしょうか。

基準として胸部ベルト式、およびライバル機であるForeAthlete935と同時に、タバタプロトコルで試してみました。

10分のウォーミングアップ後、バイクにて20秒ー10秒の厳密なタバタを行った結果です。


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ほぼおなじ形を示しており、平均心拍数は各機とも127bpm、トレーニングエフェクトもほぼおなじ値を示しました。

インターバルや、タバタにおいても、もはや胸部ベルトは不要かもしれないレベルです。

まとめ

以上、ロードやトレイル、インターバルといった様々なシチュエーションを確認してみました。

最新式の光学式でも、腕への装着位置や、ハンドルを持つときの力の入れ方、ランニング時の腕の振り方による影響はあります。
しかし、平均心拍数やトレーニング効果を見る限り、もはや胸部ベルト式は不要かもしれません。

当機は、ファームウェアに荒削りさを感じるものの、高級機に負けないポテンシャルを持っています。 かなりコストパフォーマンスの高いモデルだと思います。




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