正直なところ、ファットアダプテーションというのはよく知りませんが、脂肪を利用したい、ケトジェニックになりたい、ってのはこういうことではないかとメモをまとめました。
ケトーシスとそのメリット
アスリートがケトジェニック、体内のケトン体を増やす目的は、次のようなものではないでしょうか。
糖(グリコーゲン)を温存する
酸化ストレスを軽減する
精神がシャープになる
特に、ウルトラのマラソンやトレイルのような、必要なエネルギーをすべてジェルで持ち運ぶのが非現実的なレースの場合に、上記のメリットが出てきます。
エビデンスレベルはまだ高くないにも関わらず、例えば補給の難しい自転車競技(ツール・ド・フランスみたいな)では、経験的に使われるようになっているようです。
Ketone Bodies and Exercise Performance: The Next Magic Bullet or Merely Hype? | SpringerLink
1)ケトーシスになると、グリコーゲンの分解が抑制されるため、脂肪しか燃やすものがなくなるので、相対的に脂質代謝の比率が高まります。
2)糖よりも少ないNAD+(抗酸化物質)の消費で、ATPを作ることができるので、長時間になればなるほど(10時間~)、ダメージの溜まり方に差が出てきます。
3)脳は糖以外に、ケトンもエネルギーにすることができます。飢餓状態を示すケトンを利用するとき、精神状態が研ぎ澄まされ、集中力が向上します。
<参考文献> ※だれでもアクセスでき、読みやすいことを優先しています Nutritional Ketosis Alters Fuel Preference and Thereby Endurance Performance in Athletes
Nutritional Ketosis Increases NAD+/NADH Ratio in Healthy Human Brain: An in Vivo Study by 31P-MRS
ケトジェニックのやり方
ケトーシスとは、簡単に言えば『飢餓状態』のことです。
何日も食べ物がないような状態のときでもグリコーゲンを温存するのは、獲物を捕らえるときや、危機から回避するときのような、瞬発力を要求するときのための進化(淘汰)と考えられます。
なので、やり方として有名なのは、
カロリー制限
糖質制限
の2つが有名で、やったことある人も多いのではないでしょうか。
なので、アトキンス・ダイエットとか、糖質制限の具体的なやり方は、ここでは紹介しません。
ただ、アスリートの場合には筋分解(カタボリック)は避けたいので、リスクが大きいカロリー制限は非推奨で、トータルカロリーを目標体重に設定しての糖質制限が向いています。
導入初期の2〜3週間はスーパー糖質制限(20g/日程度)、その後は量を増やしつつスタンダード(80g以下)ぐらいじゃないでしょうか。
脂質やタンパク質から糖をつくる機能(糖新生)があるので、糖をゼロにしても構いません。ただしトータルカロリーはイーブンで、プロテインは体重の1.5~2の量は欲しいです。
すると相対的に脂質が増えるわけですが、長鎖脂肪酸(動物の脂肪や普通のオイル)よりも、さらに体内で分解しやすく、ケトンが高めやすいMCTオイル(Medium Chain Triglcerides)が使いやすい、というわけです。
⇓これが安くて使いやすいです⇓
糖質制限のデメリット
しかし、ケトジェニックには向いてる糖質制限ですが、以下のような欠点があります。
他の人と食事ができなくなる
食費が高くなる(2倍〜)
体質が変わるのにとても時間がかかる
Pmax(最大パワー上限)が低くなる
上の2つは社会的な問題で、やったことある人は分かると思いますが、家族はもちろん、職場での会食なども大きく影響します。
日本では米がいちばん安いカロリー源のひとつなので、それが封印されることで、お金がとてもかかります。
また、体質が変わるのに、初期の導入だけで約2週間、一時的に運動パフォーマンスが低下し、順応するのには半年〜1年近くを覚悟する必要があります。
その間、食生活とお金を継続しなきゃいけないのでかなり周囲の理解も不可欠です。
また、オイル類も急には増やせず、とくにMCTオイルは、徐々に量を増やしていき、30cc飲んでから走っても下痢しなくなるのには、2ヶ月ぐらいかかるんじゃないでしょうか。
MCTオイルは勝手にお尻から抜け出してパンツが黄色くなるのは本当に困りますよね!!!
最後にパフォーマンスの話。
糖質制限は、すでにVO2maxもフォームもランニングエコノミーも持久力も開発され尽くした人がやって、そのメリットが享受できると思われます。
糖を使った最大運動が封印されるため、レペやインターバルでまだ伸びる余地のある人には、糖質制限(ケトジェニック)の優先度は低いです。 炭水化物をしっかりとって、インターバルしたほうが伸びしろ大きいと思います。
これは、2年間、20g以下のスーパー糖質制限やってみたぼくの個人的な感想です。
とりあえず、ケトジェニックを体感してみよう!
なので、途方もなくお金も時間もかかり、効果が体感できるのは数ヶ月以上先というリスクがある糖質制限やパンツが汚れるMCTオイルにチャレンジしなくても、簡単にケトジェニックを体感するためのサプリがあります。
BHB(β-hydroxybutyrate)というサプリで、小難しい名前ですが、ようするに体内で作られるケトンをダイレクトに摂取することで、ケトン値を一気に高めるものです。危険はありません。
糖質制限もファットアダプテーションも不要、飲むだけでケトーシスを達成できます。
(ちなみに、Nutritional Ketosis Alters Fuel Preference and Thereby Endurance Performance in Athletes の論文で使われているのも、このBHBの利用率を高めた物質です)
これを使って、ケトジェニックが自分のアクティビティに向いてるかどうか判断してみてください。糖質制限にチャレンジするのはそれからで十分です。
このサプリ(BHB)には、糖質制限しなくてもケトーシスになれるという最大のメリットがあります。
また、MCTオイルに比べて下痢にもなりにくい(飲みすぎるとなります)。
BHBの使い方
食事はいつもどおりで変える必要はありません。
ただ、分かりやすく体感するには、
朝食を食べる前
規定量のBHBを飲む
20〜30分ほどでケトンが増えてくる
ランニングする
がオススメです。
ケトンが増えてくると空腹感も感じなくなります。
ビルドアップやインターバルが特に分かりやすく、ペースを徐々に上げていき、LT や OBLA を超えて、1〜2分以内ぐらいしか続かないような全力走まで上げていってみてください。
あるところで、
「ガツン」
と、ハンガーノックになったときのように、これ以上、身体が動かせない壁 みたいなのにぶつかると思います。
これが、グリコリシス(糖分解)が抑制された状態。Pmax(VO2max)の伸びしろに余地がある人に向かない理由はコレです。
Power Duration Curve モデルが分かりやすいので図示。
ぼくの1分全力は 318W ですが、そのうち Anerobic(俗にゆう無酸素)が約30%の 96W。これが全て使えなくなるわけではありませんが、ケトーシスの状態だと、ここのサポートが妨害されて期待できなくなる、というわけ。
なので身体は、ケトン体を利用するしかない縛りプレイを強制されるわけですが、BHBは、乳酸と同じく MCT(monocarboxylate transporter) という輸送体を通って生体利用されるため、乳酸値を高めた状態でのトレーニングと同じ効果、つまり乳酸利用効率を高める訓練が期待できます。
インターバル以外にも、閾値走を行う前に飲んでも、効果が高いと思います。
この状態で、より速くしようと もがく ことで、ケトジェニックな状態での身体へ適応が進みます。
もし、ファット・アダプテーションという状態があるとするなら、このことではないでしょうか。
これによって糖が温存され、ロングやウルトラにメリットが出てくるわけですが、はっきりいって、かなり辛いですし、脂肪を使うことが強要されるだけで、脂肪が速く燃えるわけじゃないです。
メンタルフォーカスが高まることについては、心が静かになり、目の前の課題に集中しやすくなるので、これは分かりやすいと思います。
仕事に使ってる人もあります。
このBHBを使いつつ、自分に向いてそうなら、だんだんとMCTオイルの比率を高めるといいと思います。
ちなみに、MCTオイルを配合した製品もあります。
まとめ
ケトーシスのメリットとデメリット、そしてやり方と、お手軽に体験できるサプリの紹介でした。
糖をつかった素早い動きが封印されると、こんな風なのね、って感じてもらえたら幸いです。
ぼくは おんたけ 100km 100mile とも糖質制限で完走していて、ウルトラでの有効性は分かってるつもりです。
だけど、自分にとって、糖質制限が本当にメリットあるかどうかを把握してから挑戦したほうがいいです。
最後に、BHBを注文するときには、Iherbのクーポンコード、MAS615 をお使いください。
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