ForeAthlete 935 スントユーザによるレビュー!【2018年8月版】
10年以上、Suuntoを使ってきましたが、Gamin ForeAthlete 935 を購入してみました。
Suunto ウォッチとの比較、そして、トレイルモデルである Fenix 5 とどこが違うのかをレビュー。
- 薄く、軽量なボディ
- GNSSは欧州ガリレオにも対応
- ライフロガーとして優秀
- 内蔵の光学式HRの精度は?
- 嬉しい RD POD が同梱
- 接続が多彩
- バッテリーの保ち
- ウォッチ間で数値を同期する Physio TrueUp
- Fenix 5 と どう違う?
- まとめ
薄く、軽量なボディ
厚みは13mmほど、重さは49gとなり、光学式HR内蔵で、ウルトラ対応のGPSウォッチとしては、最軽量。
ライバルの Suunto Spartan Trainer が 56g なので、さらに軽い!
光学式HRを内蔵してるため、フィット感があります。
ボディは強化樹脂でも、フラットなデザイン、ガラスのフェイスに金属製のボタンは、安物っぽくない
ガラスはサファイアではないので、トレイルでの傷には注意。ガラスフィルムを貼りましょう。
GNSSは欧州ガリレオにも対応
この樹脂ケースは、見た目の重厚感こそありませんが、電波が減衰しにくい特長があり、GNSS(GPS)の安定感は、金属ケースを用いたFenix 5 より高い傾向を示します。
さらに対応GNSSが追加され、米国GPS、ロシアGlonassに続き、欧州Galileo も、ファームウェア Ver. 9.60 で対応となりました。
欧州系のレースに行く方には朗報かもしれません。GPS+Glonass、GPS+Galileo の選択のみで、Glonass+Galileo はできないみたいです。
近日中に、日本語版もアップデートされると思われます。
ライフロガーとして優秀
ストレスモデルによれば、トレーニング負荷をかけたあとの疲労回復が十分であることが、パフォーマンスアップに重要であることを示しています。
今回、購入したポイントは、「1日を通して心拍やストレスを追うことができる」、「睡眠の質をを追跡する機能」をもつことです。
これらを知るためには、トレーニング「以外」の時間帯でも、心拍数を測り続ける必要があります。そのため、不快感の少ない手首型の心拍計が望まれていました。
24時間の測定でリカバリーと慢性疲労を知ることができる
心拍解析技術を有する企業のひとつに、FirstBeat社があり、同社によれば、24時間を通して心拍を測定することで、ストレスとリカバリーの状態を知ることができる*1ということです。
トレーニングの効果は、激しい負荷そのものよりも、その後のリカバリーによる回復によって得られます。 疲労と回復の状態を正しく知ることは、トレーニング効果を引き出すためには不可欠です。 そのため、心拍の24時間測定は、トレーニング計画に必要となる、重要な指標のひとつと考えられています。
FirstBeat社による、24時間測定のモデル(脚注の資料より)
このHRV測定の機能追加は、近日中に予定されている、ファームウェアVer.6で実装される予定です。
Garmin Connectによるライフログ表示画面
Garmin Connect は Suunto の Movescount に相当するWebサービスですが、MovescountがトレーニングとGPSログ管理に特化しているのに対し、Garmin Connectは、ライフログ、フィットネス全般に幅広く対応しています。
Suuntoも、FirstBeat社のテクノロジーを導入しており、Ambit 3 では、疲労のリカバリーを測定することが出来ました。 しかし、2018 年 3月現在、 Spartan wrist HR を含め、スパルタンシリーズは、まだ疲労とリカバリーの測定に対応していません。
胸部ベルトの心拍センサーを使えば、さらに詳しく、疲労を測ることができるのをご存知でしたか? HRVとよばれる指標について、以前の記事を紹介します。
睡眠の質を測定する
睡眠中も、時計を装着していれば、睡眠の深さを測定することができます。
8時間の睡眠がベストだとよく言われますが、質も大切で、寝入りばなの3時間に、深い睡眠がしっかりとれることが必要なので、それが確認できることはリカバリー具合を知る上で重要な手がかりとなります。
さらに、Ver.9.1.0 から REM睡眠を検知するようになりました。しばらくすると日本語版もリリースされると思われます。
内蔵の光学式HRの精度は?
光学式の心拍計は歴史が浅いこともあり、精度が気になるところです。そこで、胸部ベルトの測定と比較してみました。
約13kmのトレイルランでのテストです。
縦軸:心拍数 横軸:経過時間(秒)
赤:Spartan+胸部ベルト 緑:FA935WHR
光学式は振動に弱いのですが、トレイルランにおいても、ほぼベルトと変わらない数値を示しました。
軽量化されたボディは振動に強く、光学式の精度向上に役立っていると思われます。
正確さでは胸部ベルトに譲りますが、ほぼ実用上の差はないと言っていいでしょう。
追従性を要求するインターバル、そしてロングランでも測定した結果を、別のエントリーにまとめました。
嬉しい RD POD が同梱
なんと、ランニングダイナミクスが測定できる RD-pod が標準付録です
お高い心拍ベルト HRM-4RUN や HRM-TRI を買う必要がない
こんな感じです
しかも、ランニングパワーも測定できるようになりました。
接続が多彩
スパルタンと比べて驚いたのは、多彩な接続方式をサポートしていることでした。
Suuntoは、Ambit3以降のモデルで、ANT規格を廃止し、BlueToothに統一した経緯があります。
一方の Garminは、ANT+、BlueTooth をサポートしているため、旧来からある、多彩なPOD類がそのまま使えます。とくに数多くのセンサーを必要とする自転車には、ガーミンの優位性を感じます。
また、FA935はWi-fiをサポートしているため、スマホのアプリやUSBケーブルを使わずに、直接、ネットにログを送信できるところも大きな違いです。
バッテリーの保ち
まだ1回しか試していませんが、GPS測定:ベストの条件で、1時間あたり3.5%のバッテリー消費でした。 一方、ウルトラトラックモードはどうでしょうか。Spartan Ultra と比較して、その性能をみてみました。
ウォッチ間で数値を同期する Physio TrueUp
これまで、複数の時計を使い分けてるケースでは、運動時間の合計、カロリー、VO2max、最低心拍数やストレスの値が、それぞれに分散されていたのが、ユーザーの悩みでした。
新機能である、Physio TrueUp は、所有のGARMINデバイス間で、これらの値を共有するのを目標としています。
このアップデートは旧機種にも順次行われ、サイクルコンピュータの Edgeシリーズにも対応するため、運動消費カロリーやトレーニングステータスも、ラン、バイク、スイムを反映したものとなり、すべてのデバイスで同じ数値が表示されるようになる予定です。
本国では、Ver.9.10 で対応済。
Fenix 5 と どう違う?
ForeAthlete は ロードランナー向け?
と思っちゃいますが、中のユニットは Fenix 5 と同じです
機種 | FA 935 | Fenix 5 | Fenix 5X |
---|---|---|---|
画面サイズ | 30.4mm 240*240 dot |
30.4mm 240*240 dot |
30.4mm 240*240 dot |
重さ | 49g | 87g | 98g |
持続時間 | 21時間 | 21時間 | 20時間 |
衛星 | GPS Glonass みちびき |
GPS Glonass みちびき |
GPS Glonass みちびき |
センサー | 光学式内蔵 ANT+ BlueTooth Smart |
光学式内蔵 ANT+ BlueTooth Smart |
光学式内蔵 ANT+ BlueTooth Smart |
RD POD | 付属 | なし | なし |
内蔵メモリ | 64MB | 64MB | 16GB | 登山地図 | なし | なし | あり |
つまり、機能は変わりません
要は、羊を被ったFenix 5
これが、ForeAthlete 935 の正体です
ガラスフィルムで画面は保護できますし、強化樹脂ボディは金属より傷が目立ちません
Fenix 5 にこだわるのであれば、迷わずに、登山地図がインストールされた、大容量メモリの Fenix 5X を選ぶべきです
まとめ
ForeAthlete 935 は 羊をかぶった Fenix 5 です
1回の充電で、高精度でも 20時間、日常生活なら1週間以上、UltraTrakモードなら UTMBやUTMF も行けます
保護フィルムを貼ればトレイルも怖くありません
パワー測定も可能となり、実売5万前半と、かなりお得感の高いGPSウォッチです
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*1:Stress and Recovery Analysis Method Based on 24-hour Heart Rate Variability Firstbeat Technologies Ltd. https://assets.firstbeat.com/firstbeat/uploads/2015/10/Stress-and-recovery_white-paper_20145.pdf