Garmin ハートレートセンサーHRM4-Run で 乳酸閾値を測る
光学式心拍計や、ランニングダイナミクスポッドの登場により、存在感のうすれた心拍ベルト。
ですが、冬には肌を露出したくないですし、光学式ではまだ測定できない重要データがあります。
ここでは、心拍ベルトのメリットと、測定可能な項目について紹介します。
冬に使いやすい心拍ベルトのメリット
冬場は、心拍ベルトをお勧めします。
光学式は、ジャケットの上からだと測定できないからです。
また、ランニングダイナミクスポッドは、分厚いタイツやジャージに装着するのは難しい上、多少のブレがでることがあります。
HRM4-Runの特徴
- ランニングダイナミクスを測定できる
- ベルトからセンサーを取り外すことができない
- 心拍数と心拍変動を測定できる
意外だったのは、センサーをベルトから取り外すことができないことでした。
最初、洗濯をするのに不便だと思いましたが、"センサーを取り外すことができない"ため、うっかり洗濯機で洗ってしまうリスクが減ることに気づきました。
洗濯機対策として、よく考えられた設計だと思いました。
そして、3番目の心拍数の計測、とくに心拍変動を測定できることが、このHRM4-Run、最大の特徴となります。
心拍変動とは
心臓の拍動は、一定しているように思いますが、状況にあわせて変化しています。 例えば、寝ているときはゆっくりになりますし、運動している時は早くなります。
さらに、ストレスが強い時は非常に規則正しくなり、休息できていると、呼吸に合わせて心拍数はゆらぎます。その心拍数のゆれ幅が、心拍変動幅(HRV)と呼ばれるものです。
この心拍変動のゆらぎは、ミリ秒単位での微弱な変化であるため、現在の光学式では十分に測定することができません。 そのため、心臓の電気変化をダイレクトに測定することができる、胸部ベルトのセンサーが必要になるわけです。
心拍変動を測定することによって、乳酸閾値とストレスを測定することが可能になります。
乳酸閾値を測定する
筋肉には、速筋と遅筋があるのはご存知と思います。速筋は、糖を分解することでエネルギーを得ています。糖の分解は、酸素が十分ならピルビン酸となり、不足すれば乳酸が生まれます。遅筋はその乳酸をエネルギーにすることができます。
たとえば、ペースを急に上げたとしましょう。酸素の供給が追いつかないとき、分解された糖は多くが乳酸に変わります。遅筋が使い切れないほど乳酸が貯まりだすと、血液中の乳酸値が急激に上昇しはじめます。
そのポイントが、乳酸閾値(LT)です。
心拍数は、乳酸値が高くなると増加するため、急に心拍数が増えるポイントが分かれば、乳酸閾値を推定することができます。そのときのペースが、LTペースといわれる速度です。 体内の糖、つまりグリコーゲンは多くありませんから、LTペースより速すぎると、フルマラソンの最後まで保たない、と言われるわけです。
逆にいえば、走りの効率が良くなることで、LTペースを上げることができれば、よりフルマラソンを速く走ることが可能になります。 そのため、LTペースを知っておくことが重要になるわけです。
ForAthlete 935による乳酸閾値測定
イージーからマキシマルまで5段階の心拍ゾーンを、ビルドアップ走で走ります。
ウォームアップにもよりますが、20-30分かかります。
- HRM4-Runを装着する
- エクササイズメニューから ラン系を選ぶ
- オプションメニュー>トレーニング>乳酸閾値テスト を選ぶ
- 解説が表示される
- スタートボタンを押すとウォームアップが開始される
- 指定された心拍ゾーンを維持する(3-4分)
- 5段階の測定が終わるとクールダウンが開始される
- 結果が表示される
結果は、時計本体とGarmin Connectで確認することができます。
これによると、LTでの心拍数は160,ペースは4’03/kmという結果となりました。 定期的に測定することで、グラフとして確認できるようになっています。
予想タイムも確認してみました。
ちなみに、ぼくはフルマラソン3時間20分程度で、このうちのどれ一つとして達成していません。 どうやら、心肺系はサブスリーに耐えられるようですが、足腰の鍛え方が足りないということにしておきましょう。
今回のテストでは、キロ6〜キロ3分後半まで、4分ごとにペースアップさせられました。 強度が高いため、十分に体調がよいときを選んでチャレンジして下さい。
ランニングダイナミクス計測
身体の上下動や、左右バランスのほか、一部機種ではランニングパワーも計測できるようになりました。
計測内容は、RD-PODと同じなので、こちらをご参照ください。
ランニングパワーの詳細はこちら
心拍変動幅(HRV)でストレスを測る
また、心拍変動幅(HRV)を測ることで、ストレスの状態を知ることができます。 こちらは、起床後の安静時で測る必要があります。
心拍変動でストレスを測ることについては、別記事をご参照下さい。
- HRM4-Runを装着する
- エクササイズメニューから ストレス を選ぶ
- スタートボタンを押すと測定が開始される
- 3分間安静を保つ
- 結果が表示される
こちらは、毎日測っていても、1のストレス低 しか表示されず、あまり参考になりませんでした。
別記事で紹介した、Elite HRV では、
と、比較的、主観的なストレスと一致した結果を得ています。
HRVを求めるとき、CPUパワーを要求する、周波数解析を行うため、このようにちいさな時計のプロセッサでは、演算に限界があるのかもしれません。
このあまり正確に求められない傾向は、Suunto の Ambit 3 Peak の リカバリーテストでも見られた現象です。
まとめ
心拍ベルトHRM4-Runでは、乳酸閾値とストレスを測ることができますが、傾向を把握するのに役立つと思います。 さらに、Garmin は、トレーニングエフェクトを無酸素と有酸素に分けているため、それぞれのトレーニング効果を知ることができます。
ガーミンコネクト、Webでの統計情報を見る限り、
今回のテスト強度では、無酸素領域のTE(トレーニングエフェクト)はゼロであり、その領域への効果は期待できないことがわかります。
LTペースがキロ4分に近づくにつれ、LTをさらに向上させるために有効な閾値走が行える、練習場所はかなり限られてくると思います。 練習方法としては、ゆっくりしたスロージョグに、短い距離でのインターバルを組み合わせるなどの工夫も、必要となってくる気がします。
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