Stryd に、「空気抵抗」「温度と湿度」も測定できる新モデルが登場。
いままでと同サイズの筐体で、向かい風や追い風の影響や、体感気温の連続測定ができるようになるのが大きな進化。
持ち運びに不便だった充電器は小型化され、内蔵メモリの容量も拡大されました。
現時点ですべての機能が実装されているわけではありませんが、風圧の測定を行ってみました!
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どんな人に向いているか?
- パワー基準で走力を把握したい・高めたい人
- フラットな練習エリアがない、起伏の多いところで練習している人
- 細かいメトリクスを確認したい人
本機は、フットポッド型のランニングパワーメーターで、『脚のうごき』からパワーを推定するタイプです。Garmin や Polar 純正は『体幹の移動』からパワーを推定しているため、身体の上下動もパワーとしてカウントされてしまいます。
本機は、前方への推進パワー、姿勢維持に消費されるパワー、空気抵抗、温度と湿度、上下動、脚のバネの反発力、を分けて記録することが可能となるため、より詳細にランニングを分析したい方に向いています(太字は新バージョンで追加となった部分です)。
物足りない・使いにくく感じるのは?
- 左右差が気になる人
- トレイルランナー
- Garmin または Apple Watch を持っていない人
片足につけるポッドなので、左右差の激しい人の測定には向きません。その場合は Run Scribe がおすすめ。また、下りの着地衝撃を抑えるような内部パワーは計測できないため、トレイルの下りの数値は、過小評価に感じられます。
パワーは Suunto、Polar、Garmin、AppleWatch ・・と、Bluetoothの時計なら対応しますが、全てのメトリック(推進・姿勢・空気抵抗・・・)を記録できるのは、Garmin のウォッチ(CIQアプリの使えない機種を除く)と、スマホアプリ、Apple Watch のみ。スマホでの記録はたいへん使いにくいため、おすすめできません。
スペックと解説
外観と内容
- サイズ 500円玉よりすこし大きい
- 重量 10g 弱
- 専用充電器
- クリップ
以前にくらべ、充電器が小型になり、接触式になりました。
空気抵抗を測定するための空気穴が大きくなり、それに伴いクリップにも通気口が設けられています。
バッテリー持続・記録容量
- 満充電で 20時間以上
- データは30時間以上
日常的には、週に1回、充電するかどうかです。 ウルトラ用を除けば、GNSSウォッチのほうが、バッテリーが短く感じると思います。
データについては、メモリがいっぱいになると、古いのから上書き消去されます。
測定できるメトリクス
- パワー
- フォームパワー(姿勢消費)
- 高度
- ケイデンス
- 接地時間
- 上下動
- 空気抵抗 ← New!
- 温度・湿度 ← New!
温度と湿度については、本記事時点では確認できませんが、ハードウェアは持っているようです。
ロードでの風圧
ここでは、新機能の空気抵抗をお見せしておきます。
以下は Stryd Power Center(Webツール)によるもので、
灰色で塗りつぶされている部分が、空気抵抗によるロス。ゆっくり走っているときには、灰色の部分はほとんど見られません。
この例では、キロ3分57秒を走行しているとき、249Wのうち、6%が空気抵抗に逆らうエネルギーとして消費していることを示します。
この日は、無風でした。
トレミでの風圧
一方、トレッドミルではどうでしょうか。トレミは向かい風がないので、風圧は小さくでるはずです。
同じくキロ4の設定で測定。斜度5%をつけているため W数じたいは直接比較できませんが、トレミでの風圧の影響は、1%と、やはり小さなものになっています。
おなじキロ4でも、ロードとトレミでは、空気抵抗の差があるのは感じていると思いますが、実測で 5%ぐらい違う、って数字でわかるのは、いいですね!
旧モデルとの比較
新モデルと、旧モデルの数値に互換性はあるのか?
今までの FTP や、PMC と連続性を持ったまま、使うことはできるのかは気になるところ。
左右の足に取り付けて同時測定し、比較してみました。
条件は、
- 25km + 800m の走りやすいトレイル
- 右足 - FA935 - 旧モデルStryd
- 左足 - FA945 - 新モデルStryd
- ケイデンス・速度・距離を Stryd に固定
結果
まず、距離やペースについて。
項目 | 旧Stryd 右足 |
新Stryd 左足 |
速度 | 8.95 km/h | 8.93 km/h |
ケイデンス | 86.99 rpm | 86.89 rpm |
距離 | 24.90 km | 24.87 km |
25km で、30mしか違わない。トレイルで、ですよ。
しかもループを反時計回りに2周してるため、外側になる右足のほうが長いのも納得できる。
「Strydはかなり正確だよ」とは聞いていたものの、個体差も無いのにはびっくりしました。
GNSSウォッチは1秒単位の更新が多いため、ハイペースになるほど表示が不正確になりやすいのですが、Stryd を用いれば、より正確なペースコントロールが可能になることを意味します。
新・旧パワーの互換性は
では、パワー値について。
答えは、
旧モデルの Power 値 + Air Power 値
= 新モデルの Power 値
です。
上のグラフでも、新しい方のパワーは、エアパワー(赤線)を加えた数値になってますね。
つまり、新モデルのパワーは、向かい風や追い風の影響も考慮された パワー値 であるため、そのまま直接比較することはできません。
ペースが速い人ほど、クリティカルパワーや FTP を再測定する必要はありそうです。
しかし、向かい風のゾーン5と追い風のゾーン5を区別することはできなかったので、これからはより正確に、ターゲットゾーンを絞ることができそうです。
公式にも詳しい解説があります。
なにが期待できるのか?
空気抵抗が測定できることにより、
- 向かい風や追い風の影響
- トレッドミルとロードの空気抵抗の差
- スリップストリームが正しくできているかの確認
- 集団で走ることのメリット
が、数値で確認できるようになります。
現在は、温度や湿度は ”空気の重さ” を測るのに使われているようですが、メトリックとして取得できるようになれば、WBGTのような『体感気温』を、リアルタイムで記録することができるようになる可能性があります。
どちらも、ランニングのパフォーマンスに大きく影響する因子であり、今後のアップデートが期待されます。
まとめ
本機は、いままでの Stryd のメトリクスに加え、風圧・温度・湿度が測定できるようになったため、ランニングのパフォーマンスをより詳しく分析できるようになるでしょう。
相性のよい時計は、Apple Watch, Garmin で、スマホでの測定はあまりおすすめできません。
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