メチロンのトレラン日記

データオタクの損か得かで考える雑な薬剤師がトレランするブログ

ランニングパワーの測定でサブスリーを目指す話

『いつかはサブスリー』を達成したくても、サブ3.5止まりで2年が経過。

PMCのデータを振り返ると、強度と持久のバランスが悪く、トレーニングを変える必要がありそうです。

Stryd を持っていることだし、記録を残すだけでなく、パワートレーニングを有効活用しようと思い、TrainingPeaksの有料プランを試してみることにしました。

こんな人に向いています


  • 本を読んだり、計画をつくる時間がない人

  • 解説本の通りにできてるか不安な人

  • 練習会・セミナーに通えない人

  • GPSウォッチを持っている人

TPの有料プランとは何か

大きく2つに分かれており、目標レースに向けたプランと、オンラインコーチを受けるプランがあります。


オンラインコーチだと、練習結果に対してフィードバックがあり、計画の修正も対応してくれるのですが、英語でのコミュニケーションとなるため、割愛します。

今回は、目標にむけたプランを買ってみることにしました。


みなさんも、マラソン解説本を読んでいるから分かると思いますが、『 キロ◯◯分で1時間半 』と言われても、それが本当にいまの自分に適切なトレーニングなのか、いまいち迷いが生じることがありますよね。


TrainingPeaks などの PMC管理ソフトを使うと、心拍・ペース・パワーをもとにトレーニング負荷量を計算し、その効果や疲労が数値化され、グラフで確認することができます。


また、乳酸閾値ペースや心拍数、機能閾値パワー(FTP)を設定することで、狙ったゾーンに入っているかをチェックすることも可能です。


このゾーンを使った練習法は、オンラインショップ で販売されているプランで手に入ります。


プランの探し方

今回は、約18週間後の、2月のフルマラソンで、サブスリー達成のプランを探してみました。


ランニングパワーをターゲットにしたいので、パワー基準があればベストです。


ランニング、自転車、トライアスロン、マウンテンランなど、色々なプランがありますが、

ランニング > マラソン > ・・・と絞り込めます。


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今回の条件は、

  • フルマラソン(26.2マイル)
  • 18週間のプラン
  • 週に8時間以上練習できる
  • パワー基準
  • 構造化ワークアウト

なので、絞り込んでいくと、6件がヒットしました。


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うち、80/20 Running は、ターゲットの種類を心拍ゾーンペースゾーンパワーゾーンから選べ、価格も手頃です($49.95)。


トレーニング内容の確認

ちなみに、80/20 Running は、Matt Fitzgerald 氏のトレーニング法で、LTを超える高強度は全体の20%までとし、残りの80%は会話ができるペースで行う、というもの。

同氏の著書でも触れられているように、ポラライズド・トレーニングの考え方にかなり近いです。

詳しくは別記事にまとめました。

live-simply.hatenadiary.jp


用意されている レベルには3段階あり、Level 3 は、それなりの経験者向けです。


パワーを利用するプランの内容を確認してみると、

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週に 5~10時間半(平均8時間弱)、TSSは最大の週で800ぐらい。

サンプルのワークアウトを確認すると、(ゾーン強度)✕(時間)で設定されています。

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距離で設定すると、速い人は早くゴールする分だけ、練習量は減ってしまいますが、

強度と時間で設定すれば、足が速い人でも遅い人でも、同じ練習量を目標にできるメリットがあります。


購入とダウンロード

今回は、パワー基準・Level 3 を購入しました。

Buy now から 、PayPal・クレカで決済すると、Web ツールに プランがロードされます。


80/20 Running の 典型的な週。

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距離走は週末の1日のみ。 あとは設定ゾーンでの時間走で、1日2回の練習がある週も。

火と金曜日にインターバル走が設定されており、ほかの日は Zone 2 までのランニングか、クロストレーニングになっており、80/20らしいです。


構造化ワークと相性のよいGarmin

ちなみに、構造化ワーク( Structured Workout )とは、次のようなもので、

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Garmin なら時計にダウンロードでき、時間になったらアラームとともに、ワークの指示がされます。

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実際に使ってみた感想

結果

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大会までの TSS と IF の実測値

1週間目

はじめて間もないのですが、指示通りにやってみました。

構造化ワークアウトのインターバルで、うまく行っている1例。

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少し見にくいですが、ペース(緑)とパワー(紫)は、指定のゾーンに収まっているのが分かるでしょうか。


一方、心拍は、追従が悪いのが分かります。これは負荷に対して、心拍が上がるのに1~2分のタイムラグがあるためです。

これが、心拍ターゲットによる練習管理は、インターバルに向いていない、と言われる理由です。

パワーとペースには強い相関があるため、傾斜の補正(NGPやGAP)ができるなら、パワーメーターがなくてもペース管理で代用できます。


1週間の全体をみると、

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計画では、週7時間30分・480TSSで、時間と練習量ともに、ほぼ計画を達成しています(赤矢印)。

この週の走行距離は、約78kmとなりました。

うまく行ったワークは、サボったのはと、こんな感じで、データ付きの練習記録が勝手に完成していきます


しかし、週480TSSで78kmということは、ピーク週になると、120km/週ぐらいになるのかも知れません・・・。

嫌な予感がしてます、、、


今のところ何とかなってますが、これ、続けていけるんでしょうかね、、、


ただし、80/20 Running コースには、無料でクラスチェンジするオプションが付いてるので、ついて行けなくても安心してますけどね!


1ヶ月目・FTPテスト

11月上旬のOMM JAPAN 前後でTSSを調整した以外は、ほぼプラン通りに実行。

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疲労が抜けたところで、FTP測定。

UTMB直前の8月、UTMB疲労抜きが終わった10月、そして1ヶ月目の今回と、3箇所を確認してみます。

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FTPはわずかに上がっているように見えますが、最下段:パワーウェイトレシオ(PWR) は UTMB直前まで回復していない。

ペースも 9分走が キロ3秒縮まった程度で、誤差の範囲。

一方、ECOR、RE は小さくなっているため、ランニングエコノミーは改善(それぞれ1kmあたりの消費エネルギー、酸素消費量)。

この1ヶ月間は、レース後のダメージからパワーを回復するとともに、エコノミーが向上した1ヶ月と言えそうです。


別のツールでも確認してみましょう。Stryd Power Center による直感的な、練習量の蓄積グラフです。

上から、全体的なフィットネス、筋持久力、筋パワーに、どれだけ効果があったか。

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それぞれ、フィットネスはMB直前レベルまで回復。

筋持久力は伸び悩んでおり、パワーはMB前よりも伸びています。

これは、低強度で長時間うごき続けられるためのウルトラ練習と、中強度を3時間つづけるためのマラソン練習の違いによります。


FTPテスト上でも、Strydのフィットネスレベルでも、MB直前レベルまで回復してると考えて良さそうです。

ここからは、パワーウェイトレシオの向上、ランニングエコノミーの改善、筋持久力の向上がテーマになってきそうです。



2ヶ月目・5kmタイムトライアル

5キロのタイムトライアルをしてみました。

結果:19分36秒(3'55/km) (asics TARTHERZEAL 6)

いつもは 3-9 テストですが、Stryd の 5km Estimation (アプリまたはWeb)で計算すると、rFTPw:224W rFTPa:4'12/km という結果に。

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先月の FTPw 215W よりは向上したものの、サブスリーには届きそうにありません。

この水準だと、マラソンでの平均パワー 196W 、3時間15分が目標タイムになります。


ピッチ走法?ストライド走法?今の方針でよいのか

これまで、パワーとスピードを身に着けていけば、フォームは自然にエコノミーになるだろう、と考えていましたが、甘かったようです。

結論として、ピッチを高めるには限界があるため、歩幅を広げるしかありません。

理由はいくつかあるのですが、1)脚の重みによる慣性、2)筋収縮と弛緩の切替速度の限界、3)心拍数の制約をうける、が影響が大きい。


テニスと卓球のラケットを想像すると分かると思うのですが、速度を高めようとしたとき、重たいものを同じ速度で動かすには、より大きな力が必要です(理由1)。

また、関節は、骨を挟んで筋肉が引っ張りあう構造になっており、主動筋と拮抗筋が交互に入れ替わる形で、収縮と弛緩を繰り返していますが、その切替えスピードには上限があるため、ピッチを上げすぎると筋肉同士が引っ張り合ってしまうフェーズが出てきて、効率が悪くなります(理由2)。

理由1と2から、消費するパワーが増大するため、ピッチの高まりとともに心拍数は上昇します(理由3)。問題なのは、歳を取るほど「最大心拍数の低下」があるため、中高年になるほどピッチを高める戦略は不利になることが分かります。


この時点でのピッチをロングのワークアウト(Run Long Speed Play:1.2km Zone 2 / 0.4km Zone 3)で確認してみると、

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ペース 4'15/km 時点でのピッチは 206 spm、歩幅は1.15m、上下動も 6.1cm しかなく、筋力で漕ぐ、バネのない走りであることがわかります(見やすいので、Garmin Connectの画像です)。

そして、ストライドが全体的に平均1.06m ととても狭く、スピードを上げるとき、ピッチで稼いでいることが、グラフにも現れています。

一般的に、ピッチは180spmを目安に高めましょう、と言われますが、高すぎて歩幅が狭いのも効率がわるく、180を目安に、ペースは歩幅で調節しましょう、というのがベスト、ということになります。

180spmの理由ですが、人体のサイズは正規分布に従うので、効率のよいピッチは、中央が180位、ということだと思われます。


必要なもの

このプランを利用するためには、Training Peaks の 月額/年額会員である必要があります。

最低限のデバイスとしては、GPSウォッチがあれば、ペース基準のプランが使用できます。

必要に応じて、心拍ベルト(心拍基準)、Stryd や HRM-4RUN といったパワー計(パワー基準)を追加すればOKです。


個人的には、構造化ワークアウトのダウンロードが簡単な Garmin がおすすめです。

さらに、ForeAthlete 645、935、Fenix 5系 であれば、パワー計測にも対応できます(HRM-4RUNやRD Pod使用)。

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まとめ

まだサブスリーは見えていませんが、、、有料プランのイメージ、伝わったでしょうか。

練習時間をつくるのにも苦労していて、本を何冊も読んだり、計画を立てたり、こまめに練習記録をつけるのは、とても無理、、、

時間のない人には、こういったアウトソーシングもあり!ではないでしょうか?




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