今年も、愛媛マラソンに行ってきました。
正直なところ、タイムを狙うには厳し目のコースなんですが、居心地がよいので、エントリーしちゃうんですよね。
今回は、ランニングパワー計を使ったトレーニングを行い、PB更新を目指しました。
このエントリーは、前半に愛媛マラソンの紹介、後半に感想とデータ分析という構成になっています。
目標と結果
目標:グロスで3時間15分以内
結果: 3時間07分14秒 (ネット: 3時間06分48秒)
前回の3時間27分から20分の短縮。
みての通り、時計の表示ペースとLAPペースに大きなズレがありました。
詳細と分析は後述。
愛媛マラソンとコースの紹介
松山城から今治市の方へ向かい、戻ってくるコース。日本陸連公認大会。
時間制限が6時間と、初心者でも参加しやすい。コース幅は広く、路面状況もよいが、アップダウンは多め。
道後温泉もある国際的な観光都市なので、アクセスに優れてキャパシティが大きく、家族連れでも滞在しやすいのは高ポイント。
男子3時間30分、女子4時間以内のランナーには優先エントリーあり。
アクセス
国内線:札幌・羽田・成田・中部・伊丹・関西・福岡・鹿児島・沖縄
国際線:上海・ソウル・台北
松山空港から、シャトルバス(リムジンバス)で市内まで約20分、道後温泉まで約40分
ぼくの場合、名古屋の自宅を17時に出発しても、21時前にはホテルに到着することができる、時間的な近さが魅力です。
おすすめ理由
- 路面がきれいで広い
- 制限時間が6時間
- 運営がスムーズ
- 観光地なので宿泊・滞在のキャパが大きい
- 空港から市内へのアクセスがよい
- アスリート優先枠あり
気になるところ
- 起伏が多い
- トンネルが4回ありGNSSウォッチは狂いがち
- タイムは出にくい
詳細と分析
今シーズンの練習は、Matt Fitzgerald 氏の 80/20 Running を採用。
レース直前の数値から、レースペースとパワーのゾーンを設定。
タイムの出にくい愛媛であるため、無謀なチャレンジをさけ、3時間15分以内と設定。
練習の内容は以下のエントリーにまとめています(加筆中)。
目標と計画
目標:3時間15分以内
最初の5kmを23分20秒(4'40/km)で、あとはイーブンペース 22分(4'30/km)で、だいたい3時間10~15分の予定とした。
装備
シューズ:Nike Vapor Fly 4%
パンツ:Patagonia ストライダーPro
シャツ:モントレイルの速乾シャツ
手袋:NorthFace 5本指だけどカバーが付いてるやつ
帽子:Pagagonia キャプ4の帽子
サングラス:Oak-ray Prizm LowLight
寒冷装備(使用せず):Finetrack パワーメッシュ、タイツ
計測1:Polar Vantage V
計測2:Garmin ForeAthlete 935 + Stryd Power Sensor
5km毎の感想
スタート前からゴールするまでの出来事。
スタート前
天気予報:晴れ 最低6℃ 最高10℃
7時半、当日受付。 ホテルに戻って準備。 9時半、荷物預け~整列。
Aブロック。 風が強くてイラッとする。北北西。晴れ。
スタート~5km
0:23:01(4'48/km)※以下、GNSSウォッチ表示
10時。ぼっちゃん列車の汽笛とともにスタート。直後は狭いので流れに乗る。
1kmほどで片道2車線の平和通りに出ると道が広くなる。
ペースアップしたとたんに便意となり、トイレ。ロス1分ぐらいか。
あとで振り返れば、この段階で行っておいたのは結果としてよかったと思う。
最初の5kmは、23分01秒。
あれ?予定では23'30のはず。しかもトイレに行ったのに。何かおかしい。
5km~10km
0:21:47(4'28/km)
国道に出て北上、わずかに下り基調。
8km付近、右折して40m弱の登りは、パワーゾーンで3を超えないよう、ペースダウン。
10km~15km
0:21:39(4'26/km)
GNSSウォッチ泣かせの長いトンネルを2つ抜けると、農地のなかを通る国道を北上。
遮るもののない海からの風が、強くなったり弱くなったりしてペースを保つのが難しい。
なだらかなアップダウンと合わせて地味に疲れる。
沿道には大勢の応援がありうれしいが、応える余裕なし。
集団を見つけては風よけにし、4'30/kmのペースを心がける。
15km~20km
0:21:49(4'30/km)
風がストレス極まりないが、サンダルのお兄さんが走っており、きれいなフォームを観察して気を紛らわせる。
国道から右折し川沿い。追い風になったのか、風はゆるむ。
GNSSウォッチが、5kmあたり 10秒~20秒ぐらい遅めに表示してる。つまり想定より速く走らされてる。
20km~25km
0:21:33(4'24/km)
川沿いは上流に向かうため、登り基調。風はゆるく、ペース維持が楽に。
ハーフ通過 1:33:32。このあたりでサンダルのお兄さんを抜く。
22km付近の給水所ではじめて水を飲むが、足りてない。
追い風のため足が軽く、ペースが早すぎる。
25km~30km
0:21:33(4'35/km)
農協のみかん倉庫?の横を折り返してくるゾーン。
応援も賑やかで楽しいが、折り返してくる異様な大集団とすれ違う。印をつけたペーサーが取り囲まれている。
さすがにサブ3.5てことはないので、サブ3ペーサー? だけど5-6分しか差がない。やはり時計のペース表示おかしい。
混乱して計算してたら疲れてきてペースダウン。
行きの国道に合流し、松山市内へ戻る。
30km~35km
0:21:38(4'28/km)
帰りは追い風になるはずが、風向きが変わって向かい風に。。
30kmからペースアップするも、喉の渇きが止まらず、給水所毎で補給。接触トラブルで少々のロス。
トンネル内で、応援の合唱をしている。Can't Take My Eyes Off You。元気すぎるヴォイスがトンネルに反響して地味にツラい。
35km~40km
0:22:31(4'39/km)
高橋尚子さんがコース上で応援、ハイタッチ。
あのきつい丘。歩くのと変わらないペースで登り、下りは脚が笑う。
38km付近で突然、脚のバネが無くなる。いわゆる脚が終わった状態。
ここからゴールまで登り基調。喉が乾いてツラい。
40km~ゴール
0:10:21(4’32/km)
国道が左にそれて川沿いになると、残り2kmぐらい。
バネが無くなった分、ペタペタとした走りのピッチを上げてカバーするが、ときどき脚が止まる。
水飲みすぎてゲップすると逆流しかかるが、市街地に入っても乾きがとれず、最後の給水所でも飲む。
ゴール手前1kmぐらいで脚がつる予兆。
ゴール時の経時板は3時間7分14秒。
ゴール後
記録証をもらい、手荷物を受け取り後に両足がつる。景品でもらった芍薬甘草湯のゼリーを服用。
その後、CBD oil 30mg を服用し、不足を感じた時に、CBD 50% Vape を使用することで、翌日に引きずるダメージは無く、東京でのイベントに参加したあと帰宅。
分析と反省
Strydパワーメーター&Garmin から得られた数値面、主観的な面からの考察。
数値での分析
ペース、パワー、ランニングエコノミーの3点を見ていきます。
平均パワー:212W
PWR:3.78W/kg
距離:41.3km
平均ペース:4'32/km(GNSS)、4'25/km(公式グロス)
ストライド長:1.18m
ピッチ数:185spm
上下動:7.4cm
平均心拍:151bpm
RE:0.97kg/N
Economy:212ml/kg/km
ECOR:1.03kJ/kg/km
EI:1.04
気温:13℃(平均)
数値の意味は別エントリにまとめてあります。
以上の一部を、WKO4+でグラフ化したのがこちら。
心拍数とパワー、気温との関係。
疲労が蓄積することにより心拍数があがる現象(Cardiac Drift)が見られます(赤い線)。予想以上の気温(紫)と、脱水も加わって、ラスト8kmぐらいは、心拍は160超まで上がっています。
気温は低いほうが有利です。
パワー(黄色)は、最後まで一定を維持できたものの、心拍数あたりのパワー(灰色の線)は下がっていくことからも、後半になるほど、疲労によるパフォーマンス低下がはっきりと分かる結果となりました。
ペース
時計のペースは、7-8秒/km 遅く表示。
計測距離が、41.3km と、約1kmほど足りていないことが原因と思われます。
トンネルが多い大会であるため、スピードソースを Foot Pod(Stryd)にしていましたが、キャリブレーションを行っていなかったため、このようなズレにつながったと思われます。
練習に用いてきた 80/20 Running のメソッドでは、レースペースは FTPace の 87-93%に相当するため、ここから逆算される FTPace は だいたい 3'56/km 相当になります。
パワー
平均パワーは、212W。
練習に用いてきた 80/20 Running のメソッドでは、レースペースは FTPower の 88-94% に相当するため、ここから逆算される FTPower は だいたい 232W 相当になります。
ランニングエコノミー
今回、練習中に出てきた課題は、ピッチ数とストライド幅の適正化でした。
結果、歩幅が1.18mに広がり、ピッチは185まで落ち、平均上下動は7.4cmに拡大と、ペタペタとした走りから、バネを使った走りに変わりつつあります。
ピッチを落とし、ストライドを広げるメリットは、同じペースでも心拍数が抑えられるところにあります。
平均心拍数は 151、ピークでも162と低めに抑えられていることから、心肺系は出しきれてないことが分かり、加齢による心拍上限の低下があっても、バネを活かすことで、サブスリーの可能性がまだあることを示唆します。
RE, ECOR, Economy, EI の値は、レースペースでの効率がよくなったことを示しますが、厳密には計測距離の不足を補正する必要があります。
反省点
反省点は以下の3つ。
- ペースコントロールの悪さ
同じ愛媛で20分短縮と、大幅にPB更新しましたが、ペースコントロールがめちゃくちゃで今後の課題。
GNSSウォッチのペース表示を過信しすぎており、5km毎の通過タイム(5kmラップ)チェックで十分だと思いました。
- 補給
思ってたより暑く、脱水になりました。
ハーフ過ぎてからでは間に合わず、10kmあたりからこまめに補給するべきでした。
給水がヘタでコップをなぎ倒したり、他のランナーと接触してタイムロスするなど、課題のこる。
- トイレ
前日に下剤で出しておいたのですが、スタート後に便意となりタイムロス。
しかも脱水ぎみになったため、メリットの感じられない結果になりました。
うんこ と 接触トラブル 合わせて、2分ぐらいのロスでしょうか。
実質、3時間5分を切るぐらいですが、ペース表示の狂いと38km以降のタレ具合をみると、狙っていったとしてもサブスリーには届かなかっただろうと思われます。
以上の数値確認と反省点を、2週間後の静岡マラソンに活かす予定でしたが、外せない仕事が入ってしまい、残念ながら静岡はDNS。
今シーズンのマラソンは愛媛で終わりとなりました。
まとめ
今シーズン、サブスリーには届きませんでしたが、PBは大幅に更新し、ランニングでもパワーベースのトレーニングには効果があることが確認できたのは収穫でした。
アクセスや宿泊に恵まれ、温泉もあり、食べ物も美味しいけれど、タイムを狙うにはきびしい愛媛マラソン。
思えば、初めて走ったのが愛媛マラソンで、そのときはサブフォーでした。
いつか、このコースでサブスリーをしてみたいですね。
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