ふだんは Stryd を使ってるけど、レースで Stryd を使いたくないことって、ありますよね。
使いたくないけど、パワーやトレーニングスコアを計測して、TrainingPeaks等に取り込みたい。
そんなとき、Garmin ユーザなら、rd-pod や HRM4-RUNを使えばいいのですが、Garminの方が高めを示すため、数値に互換性がないのがネックです。
そこでこのエントリーでは、HRM4-RUN や Rd-pod の数値を、FTP比でStrydに近似する方法をご紹介します。
- 対象機種
- 手順
- 使い分けのメリット
- Garmin Power と Stryd は 同時に測定できる
- Golden Cheetah で 修正を行う
- TrainingPeaksにインポートする
- Stryd Power Center にインポートする
- 近似の精度と補正係数は
- まとめ
対象機種
- Garmin ForeAthlete 935、645
- Rd-pod, HRM4-RUN
- Stryd
手順
- あらかじめFTP比を求めておく
- Garmin Power で計測を行う
- Golden Cheetah で パワー補正をする
- トレーニングピークス等にインポートする
使い分けのメリット
この使い分けに、どのようなメリットがあるかというと、
Stryd のバッテリーが保たない、20時間を超えるレース
降雨や渡渉があり、Stryd の使用環境に適さないとき
に、高い防水性があり、バッテリー持続が最大1年もある、Rd-pod や、HRM4-RUN へ交代させることができます。
しかし、パワー測定の方式として、Stryd は「足運び」、Garmin は「体幹の移動」を測定しているため、数値に互換性はなく、Garminの方が全体的に30~40W以上、大きな数字にシフトしています。
ですが、パワーを対FTPで考えると、ほぼ同じゾーンと傾向を示すため、FTPを双方で測定しておけば、シチュエーションで使い分けられることになります。
Garmin Power と Stryd は 同時に測定できる
Garmin Power と、Stryd は、同時に計測できることを利用します。
ウォッチにそれぞれの Connetct IQ アプリをインストールし、アクティビティに登録するだけです。
おなじアクティビティ内(例えば ラン )であれば、ひとつのページにまとめても、別のページでも構いません。
あとは、いつもどおりにFTP計測を行うだけです。
このようにすると、ひとつのアクティビティ内に、Garmin 、Stryd 両方のパワーが同時に記録されます。
それぞれ、FTPを求めておきます。
同時測定したとき、TrainingPeaks の場合には、Stryd のデータが優先され、IFやTSSの算出に用いられます。
Garmin側のデータは、Garmin のWebで求めるか、フリーのPMCソフトである、Golden Cheetah を用いれば参照することができます。
私の場合だと、
StrydのFTP・・・・225W
GarminのFTP・・・318W
なので、StrydのFTPは、Garminの -30% と計算されました。
これで、準備は完了です。
Golden Cheetah で 修正を行う
ここからは、Garmin Power で記録したレースデータを、Stryd に修正する作業の説明です。
フリーソフトの Golden Cheetah を用います。
このアプリは、PMC管理もできますが、簡単にパワー補正できるので、今回はこの機能のみを使います。
Garmin からエクスポートする
まず、レースデータをGarminからエクスポートします。
データ形式は、オリジナルFITがおすすめです。
Golden Cheetah にインポートする
そのファイルを、ゴールデンチーターにインポートします。
サマリーや パワーゾーンで、Garmin Web と同じであるか、確認しておきます。
パワーデータを補正する
メニューから、 > Edit > Adjust Power Values を選びます。
パワースペクトルのピークがどこにあるか覚えておきます。ここでは水色のゾーン3にあります。
そして、あらかじめ求めておいた、FTP減らし幅を、パーセントで入力します。
私の場合だと、-30% でした。
修正後のパワーデータを確認すると
パワースペクトルのピークが、ゾーン3からゾーン2へ、シフトしているのがわかるでしょうか。
過去のデータとの整合性、主観強度(RPE)も参考にしながら繰り返し、FTP比率を加減して実感にあうよう修正します。
アクティビティをエクスポートする
修正が終わったら、メニュー > Activity > Export と選び、PMCソフトにエクスポートします。
ファイル形式は、
- TrainingPeaks の場合・・・ .pwx 形式
- Garmin / Stryd の場合・・・.tcx 形式
となります。
TrainingPeaksにインポートする
カレンダーモードで「+」を押し、手動アクティビティ追加ウィンドウを開き、Uploadを選択。
作成した、pwxファイルをアップロードすれば完了です。
次のようになりました:
TSS、IF、といったパワー関連値が反映されているのが分かります。
これで、「まったくデータが不明」という事態を避けることができました。
Stryd Power Center にインポートする
このデータは、Stryd Power Centerにも反映させることができます。
Stryd Power Center > Settings > Upload に、作成したtcxファイルをドロップします。
インポートが終わると、無事にデータが反映されます。
Garmin から移植される項目は、
- パワー値
- 心拍数
- ペース
- 高度
- ケイデンス
- RSS
と、Garminで測定されるデータに限られます。
無いよりは遥かにマシですし、RSS(トレーニングスコア)も得られるため、トレーニング進捗グラフが欠測になることも避けられます。
一時の代用としては、十分ではないでしょうか。
近似の精度と補正係数は
最後に、この近似の精度はどれぐらいか?を示しておきます。
以下は、同じワークアウトを、Garmin, Stryd で測定し、前述の方法で補正(-20%)したものを並べてあります。
各パワーゾーンにある時間の配分は、だいたい同じプロフィールになります。
トレイルにおける補正比は、-30% ~ ー15% の範囲で、主観強度や心拍強度と整合性が取れるよう調節する必要があります。
というのは、フラット~登りでは、FTP比に近い乖離(30%)になるのですが、下り区間のパワーは大きな開き(10%)がないためです。
まとめ
Stryd を使いたくない、大雨や渡渉のあるレースのとき、Garmin Power で代用する方法でした。
フリーのPMCソフト、Golden Cheetah を使えば、パワーに係数をかけて補正することができます。
主観強度や心拍数をみながらトライアンドエラーをする必要はありますが、トレーニング量を管理するのに必要な、IF や TSS が得られ、相対的なパワーゾーンも得ることができます。
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