海外で域内便が遅延して、国際線が欠航になって、振替えたら台風に追いかけられたという話
欧州旅行に行ったら、域内便が遅延した上、国際線が欠航になって、なんとか日本にたどり着いたら、こんどは台風による運休に追いかけられた、という、すこし珍しい話です。
下手をすると、途方にくれながら空港で一夜を過ごし、欠勤して怒られるのか。
それとも、なにか間に合う可能性は残っていないのかーーー。
今回は、この連続した3つのトラブルから逃げ切り、旅行保険の欠航特約も支払いを受けることができたので、そのプロセスを残しておきたいと思います。
ジュネーブ〜フランクフルトの遅れ
UTMBという、フランスのモンブランで行われる山岳レースに参加して、そこから帰るときのことです。
まだ暗いうちにシャモニーをでて、ジュネーブ空港のラウンジで朝食を済ませ、フランクフルト空港に向かおうとすると、域内便の様子がおかしい。
搭乗のゲートが開いていない。よく見ると、
DELAYED の文字が。
名古屋行きへは、約3時間の余裕があったので、こんなこともあるだろう、と、そのときは軽く考えてました。
まさかそれが、こんなに大変なことに発展するとは・・・・。
まさかの欠航
ちなみに、モンブラン山の最寄り空港はジュネーブ(GVA)ですが、日本からジュネーブへの直行便はなく、かならずどこかで乗りかえる必要がある。
今回は、ANAのマイル特典航空券を使ったのですが、GVA → FRA → NGO は、シェア便となるルフトハンザになります。
そのため、フランクフルト空港で国際線に乗りかえる予定でした。
結局、域内便は40分遅れの11時に、フランクフルトに到着。
トランジットぎりぎりの「1210発・羽田行き」のプレートをもった係員。
そういえば、機内放送で、羽田行きの乗り換えはタイトだよ、あと名古屋は・・と言ってたような気がしたが、なにせドイツ語なまりの英語で聞き取れず。
出発までゆっくりラウンジで過ごそうと時間を確認したところ、
欠航の文字が!
近くのインフォメーションで聞いたら、とりあえず搭乗ゲートに行けと言うので、そこで振替の案内があるのかと思って行ってみたけれど、だれもいない(笑)。
どうしよう。明日は午後から予定がはいっていて、どうしても午前中に名古屋に着いておかないとマズい。
ほとんど寝ずにモンブラン100マイルを走った、眠たい頭で必死に考えます。
iPhoneの調子もわるく、ローミングが上手く行かず、ようやくWi−Fiを見つけてチェックすると、ANAからお知らせのメールが。
しかもタイムスタンプを見ると、域内便で飛行してる最中のメール。遅いよ、、、
ようするに、ルフトハンザに聞いてね、ということで、疲れてるし、眠いしで、どうでもよくなってきて、ちょっと気が遠くなりかかりました。
チケットカウンターでの交渉
そのとき、ふっと思い出したのが、以前、読んだことのある、すけすけさんのブログ。
https://www.sukesuke-mile-kojiki.net/entry/kaigaikoukuukichiennwww.sukesuke-mile-kojiki.net
簡単に言うと、チケットカウンターで交渉するまえに、搭乗したい候補を調べておいて、こちらから提案しようね、という内容です。
とりあえず、ベンチに腰掛けて考えます。
まずは落ち着いて考える
今の時刻は1130過ぎ。
まず、あすの午前中に名古屋に着くためには、関空(KIX)、中部国際(NGO)、羽田(HND)、成田(NRT)の4択。
振替がスムーズに行きそうなのは、もともと共同運行しているANA と ルフトハンザ。
それでだめだったら、いったんミュンヘンに移動するルートや、スターアライアンスに広げての再検討をすることに。
11時半から、時系列順に書き出してみると、
到着地 | 出発 | 到着 |
羽田 | 1210 | 翌0635 |
関空 | 1345 | 翌0745 |
羽田 | 1805 | 翌1215 |
羽田 | 2045 | 翌1455 |
中部国際(NGO)は、1日おきに1便しかなく、まる1日以上遅れるため、対象外。
1210発・羽田行きは、すでに搭乗が始まっている。いまからチケットを作り直してたら間に合わない。
なので、関空に翌朝到着便か、羽田に午後到着便か、の2択に絞られる。
ところが、いちばん読めないのは、台風21号の影響。
午後に羽田に到着するパターンだと、セントレアへの乗り継ぎは18時まで待つことになり、運休のリスクがある。
名鉄セントレア線が通常運行としても、名古屋市街に到着するのは20時過ぎと、どちらにせよ仕事に間に合わない。
そこで自費で品川から新幹線をつかうにしても、台風へと向かっていく進路なので、こちらも運休のリスクがかなり高い。
となると、予定運行ができている以上、1345発の関空(KIX)行きが最もマシで、かりに台風が早まっても、東のセントレアに降りる分にはかえって都合がよくなる。
その次に、遅刻とはなるが、日付が変わる前に帰宅が可能な、1805発の羽田行き。
あまり時間がない。まずは、この2択で交渉することにする。
チケットカウンターへ急ぐ。
交渉で希望を伝える
11時40分。幸い、ほとんど並んでいなかったが、12時10分の羽田行きはすでに絶望的タイム。
スタッフが大仕事をしてるかのようにキーボードを叩いて、「1805発の羽田行きに振り替えられているよ」と案内される。
ああ、ANAが手配してくれてたのね、と安心はしたものの、定時運行が可能なら、関空行きにのりたい。彼がきっぷを印刷しようとしたので、
たしか、 If possible, I'd like to go to KANSAI Airport. 13 o'clock. みたいなことを言った気がします。
すると彼は、「関西(KIX)でもいいのか?」と言った後、ディスプレイを睨んだり、キーボードとパチパチと叩いて考えている(考えるフリ?)。
1分か2分ぐらいしたころ、彼は、まだ空いてる席を見つけた(俺が見つけたんだぞ)、と、さも大仕事をしたかのように告げたのでした。
you are nice and great! thank you. と言ったら得意そうな顔してチケットくれました。
交渉のポイント
すけすけさんのブログにもあるように、交渉するまえには、準備が大切です。
海外の人は、日本の空港の位置関係をよく知りませんし、ぼくたちが振替先からどうやって帰るのか?なんて想像もできません。
なので、こちらで選択肢を用意しておいて、その中から探してもらう、という方法がスムーズだと思います。
今回は、フランクフルトという国際空港だったのでスムーズに行きましたが、これがジュネーブ時点の出来事だったら、もっと苦労したかもしれません。
関空から帰宅までも大変でした
関空行きは、予定時刻に出発。
順調どころか、予定よりスピードをあげて、20分も早く、7時半には関空に着きました。
機内Wi-Fiで気象・運行をチェック
着陸の2時間前に、機内Wi-Fi(1時間10ドル)を使って、台風の進路、リムジンバス、在来線、新幹線の運行を確認しておきます。
ついでに、乗る予定だったLH736も見てみると、
あの後、どんどん埋まっていったようで、恐ろしいことになってました。
素早く行動していなかったら、まだフランクフルトで途方にくれてたかもしれません。
関空からの交通が順次運休に
まだまだ受難は続きました。
このとき、まだ雨は降っておらず、風もほとんど無かったのですが、入国審査やスーツケースの発送に時間をとられ、JRの駅につくと、機内でチェックしたときには動いてる予定だった、特急は運休で、快速のみ。
あわててリムジンバスに戻ると、こちらも8時半で運行が終了。
しょうがなく、ふたたびJRに戻って、快速にのって大阪に向かってるとき、
がんばーーー( งᵒ̴̶̷᷅ωᵒ̴̶̷᷄)ง⁼³₌₃ JR阪和線はこういう時真っ先に死亡するんで、でけたら南海の方がええ気がしますがー。間に合いますよう🙏
— sachiyo (@scya1214) 2018年9月3日
というありがたい情報をいただきました。その指摘どおり、快速は天王寺で終了となってしまい、
今見たら、環状線は10:00くらいまでは通常で動いてますが、乗り換える大阪駅→新大阪駅の東海道本線?がすでに遅延出てるみたいなんで、直通地下鉄がおススメ😉
— sachiyo (@scya1214) 2018年9月3日
御堂筋線に乗り換えて、ぶじに新大阪に着くことができました。
東海道新幹線は定刻通り
新幹線は定刻通りの運行で、10時20分の新大阪発にのる予定だったのですが、またミスをやらかしました。
iPhoneを初期化して、Suicaが消えてしまったのにもかかわらず、スマートEX-ICで予約しちゃったんですね。
たまたま、登録クレカを持ってたので事なきを得ましたが、あやうく切符が電子クズになるところでした。
名古屋には、11時10分に到着。
台風の関門にめっちゃ追われた帰宅でしたが、ぶじに仕事にも間に合いました。
「航空機遅延費用」を海外旅行保険に請求する
請求書をつくる
帰宅後、ダメ元で、余分に払った新幹線代を保険請求してみました。
書き方見本もついており、悩むところはなく、簡単でした。
欠航になった航空券のコピー、新幹線の領収書を同封するのですが、今回は、関空の水没や、北海道の震災が重なったため、保険会社さんも大忙しだと思います。
そこで、疑義が発生しにくいよう、このブログ記事を要約した資料も同封してみました。
電話でのやり取りも、なにげに時間を取られるので、お互い、楽にならないかと思いまして。
結果は・・・支払われました!
1週間後、銀行から入金メールが届き、確認したところ、
おお! ちゃんと承認されている!
新たに追加発生した、関空~大阪~名古屋 の交通費から、もともと支払う予定だった、中部国際~名古屋 の費用を差し引いた金額が、入金されていました。
請求から振込までのあいだ、電話でのやりとりは、1回もなし。
請求から1週間で、スムーズに解決しました。
後日、郵送されてきた案内状に、追伸のメッセージが。
どうやら、添付した追加資料が役に立ったようです。
事故が発生したら、できるだけ速やかに、そして状況が分かりやすい資料を添付する、というのが、スピード解決のポイントのようです。
「航空機遅延費用」を付けててよかった
今回は、AIG損保の旅行保険を使いましたが、飛行機の遅延・欠航特約をつけてて、本当によかったと思いました。
航空会社による弁償は、できるだけ自社便・ホテルでカバーできる範囲でしか提供されないので、「新幹線やタクシーを使ってでも、急いで帰らなきゃならない」という時には、自腹を飲むしかありません。
でも、上限額があるとはいえ、「遅延費用補償」の特約をつけておけば、今回のようなケースでも、より多く選択の幅を持つことが可能になります。
カードのおまけだけでなく、ちゃんとした旅行傷害保険に入る大切さを、実感しました。
ポイント
空港職員にキレても事態は解決しない
パニックや途方に暮れてる暇があったら、次善策を探す
トラブル時は、搭乗口ちかくのチケットカウンターがスムーズ
到着後の気象状況や運行状況も考慮
なんとかしてもらおうとするでなく、自分から提案する
SNSやブログで発信/情報収集する
旅行傷害保険の「航空機遅延費用」の特約をつける
事故が発生したら、できるだけ速く保険会社にコンタクトをとり、詳しく状況を説明する
その後
みなさんもご存知と思いますが、その後、関空が水没してしまい、橋もこわれて再開のめどが立っていないという、大変な事態になりました。
この影響で、おなじレースに出場されていた方で、飛行機が欠航になってしまったり、中継地に引き返すことになった方が、何人もおられます。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180904/k10011607931000.html
関空から乗った阪和線も、あれから大きな被害を受けています。
阪和線においては、台風の被害により複数の電柱が倒れ、車両の移動が出来ないことから十分な輸送力が確保できない状況です。朝の通勤時間帯は通常の5割程度で運転する予定です。通勤等の時間をずらすなど、分散乗車にご協力をお願いいたします。 pic.twitter.com/FdWy5TMvf1
— JR西日本列車運行情報(環状・大和路・阪和線)【公式】 (@jrwest_kinki_op) 2018年9月4日
また、東海道新幹線は14時から全面運休に、中部国際(セントレア)からの名古屋鉄道も全面運休なので、もし羽田着を選んでいたら、日付が変わる前に帰れなかったという結果になりました。
このあたり、航空や鉄道会社が「間に合う」判断をしてる場合には、台風が通り過ぎるのを待つよりも、来る前に逃げ切るほうが、スムーズに帰れる可能性が高いと感じています(再開したあとの混雑は想像以上です)。
一方、ルフトハンザ。
機材不足なのか、まだ謎の遅延や欠航の影響は続いているようで、最近、ルフトハンザの評判わるいです(苦笑)
またルフトハンザかーーーーー。フランクフルト行きのフライトがキャンセルになり、強制的に14時のミュンヘン行きに振り返え。ANA便がいっぱいとかで、日本までのフライトもルフトハンザに振り替えられてて超ブルーなんですが……
— Junya ISHINO/石野純也 (@june_ya) 2018年9月4日
ぼくの乗る予定だった機体を、FlightRader24で追ってみたところ、
なんと、アテネ行きへと変更されていました。
まぁ、1日に何便も飛ぶ、人気のアテネ観光路線なので、2日に1回でもガラガラの名古屋便をキャンセルするのは、航空会社としては妥当な判断なのでしょう。
ただ、そのあとすぐにフランクフルトに帰ってきてるので、遅れてでも中部国際に飛ばしてもらいたかった、というのが本音です。
まとめ
飛行機が遅延したり、欠航したりすると、パニックになったり、途方にくれると思います。次のスケジュールが迫っていたり、海外での出来事だと、なおさらです。
ですけど、万策尽きた、と思い込んで諦めてしまったりせず、最後まで次善策を模索し続けること。
旅行保険のオプションは、意外に使えるので付けておくこと。お金の心配が軽減されるだけで、選択の幅がグッと広がります。
あと、ブログやSNSで状況を発信しつづけることで、いろんな人の知恵を借りることができます。
このあたりは、大きく明暗を分けるんじゃないかと思いました。