メチロンのトレラン日記

データオタクの損か得かで考える雑な薬剤師がトレランするブログ

スマホを取り出さずに、リアルタイム血糖値を Apple Watch で確認する方法


めちゃんこお久しぶりです。

コロナ陽性の隔離となり、時間ができたのでブログ1つ更新。

Apple Watch で、リアルタイムに血糖値がみられるようにしたよ!!!!




すでにトップアスリートが使ってるぐらいで、リアルタイムの血糖測定はパフォーマンスに大きく影響します。


可能になったこと

左:アプリ画面 右:コンプリケーションも可能(上サブダイアルに表示)

皮膚にセンサーを貼ることで、血糖値をリアルタイムに、Apple Watch で確認できる


今も Free Style Libre センサで測れますが、スマホでタッチしないと読めない。

まぁまぁめんどくさいし、ランニング中は実用的ではありません。

Free Style Libre 、スマホでのスキャン


ですが、中継デバイスを使えば、BlueToothでのバックグラウンド通信が可能になります。

リブレに中継デバイスをくっつけると、それが5分おきに Libre にタッチしてくれ、Bluetoothでスマホやウェアラブルのアプリに送信され、全自動で記録されます。


楽!!!!


システムの構成と入手方法

血糖値のリアルタイムモニタリング化の概要

リブレのリアルタイム化には複数の方法があります。

今回は、Apple Watch に表示するので、Ambrosia 社の BluCon を使いました。*1

BlueConは、日本に発送してくれ、アプリもいちおう日本語対応です。

www.ambrosiasys.com


あ、肝心のリブレはAmazonでも買えますが、高度管理医療機器となるため、最初は糖尿病専門医で使い方の指導を受けてください(コンタクトレンズと同じです)。


BlueConの設定と使い方

リブレは、リブレリンクを使って起動しておきます(BlueConでは起動できない)。

BluConのトランスミッタ(NightRider) は、リブレにかぶせるだけ。

NightRider をリブレに装着したところ

ぴったりハマりますが、ランニング中に落とす可能性が高いため、キネシオテープなどでの固定は必須です。

サイズがギリギリですが、使えてます↓↓



iPhone にアプリを入れたら、BlueToothのペアリングが必要。

Garminとかと同じで、ペアリングの際に6桁の数字を入れるタイプです。

ペアリングができる機器は1台のみなのでご注意ください。*2


Apple Watch へは、iOS上の Watchアプリで「インストール」を選択すると、BluConアプリがApple Watch にインストールされます(削除もiOS側でできる)。

NightRiderトランスミッタを、iPhone か Apple Watch、どっちにつなぐかは、BluConアプリ上で切り替えられます。

切り替わるときに、だいたい 5分ぐらいかかります(リブレの読込み間隔が5分なので)

iOS / watchOS って、BlueToothのペアリング情報(相互認証情報)も、デバイス間で共有できるんですね。知りませんでした。


ごちゃごちゃ書いてありますが、スマートウォッチ類のペアリングしたことあれば、簡単です


Libreリンクとの比較

肝心の精度ですが、Libre リンクとはアルゴリズムが異なるので、完全には一致しませんが、傾向はほぼ同じです。

Libre Link と Link BluCon の比較。

5分単位なので、ノイズによるアーティファクトもたまに見られますね。

医療用途で使うなど、正確を求めるなら、SMBGによる校正および確認は必須です。



リブレリンクにはできないけど、BlueConでできること

  • 高血糖(250以上)や低血糖(70以下)、および任意の範囲を外れたときにアラートが出せる

  • 急上昇・急低下が起きたとき、アラートが出せる

  • Apple Health(ヘルスケア)に、血糖値データが登録できる

  • iOS側のアプリから、生データをCSV形式でメール送信できる

  • Link BluConフォロワにも、リアルタイム血糖値を送ることができる
    (親が子どもの数値をリモートで監視するための機能)


このうち、CSVデータ抽出やリモート監視機能は、トレーニングコーチに活用が考えられますね。



ランニング中の血糖値は重要

運動中の血糖値はパフォーマンスに大きく影響します。

だからといって、上げればいいってもんではなく、一定の範囲に保つことが重要。

最大パフォーマンスが得られる血糖値の範囲があり、

それは、Glucose Performance Zone (GPZ) と言われます。


その適正な範囲を外れないように、測って、補給する、というのが最先端のシステム。

モルテンにしても、ただ飲みゃいいってもんじゃなく、GPZを維持するために開発されたドリンクです。

そのGPZに収まっているかを確認するために、リアルタイム血糖測定システム(CGM)が使われています。


GPZや補給に関しては、Super Sapiens の解説に譲ります。

とくにメンタル不調や、胃腸トラブルで失敗する人は、全記事を隅々まで読んでください

blog.supersapiens.com



ベルリンマラソンでのキプチョゲさん。


リブレ Sports Sensor が付いてるのが分かる。

彼が使ってるのは、Super Sapiens のモニタリングシステムと、 Maulten の補給システム。


残念なことに、現時点の日本では Super Sapiens のパッケージは使えないので、Link Blucon を使えば似たようなことができますよ、というのが今回のブログというわけです。



おわりに

リブレの話は、ブログに書くか悩んでました。

日本では、糖尿病の人たちが健康管理に用いるためとされ、コンタクトレンズと同じく使い方を誤ると、人体に危害が加わるおそれがある高度管理医療機器という区分のツールだからです。

ですが、すでに欧州では、キプチョゲさんが使ってる、スポーツ用のリブレが販売されています。

www.libresense.abbott


かつて Garmin の SpO2 や Apple Watch 心電図機能が日本では無効にされたように、国によってテクノロジー利用の倫理観は大きく異なります。

かといって、このようなテクノロジーの格差が起きていることを知らないままにすると、スポーツでの結果だけでなく、生活水準にまで大きな差をつけられてしまう危機感があります。

また、より多くの人が健康に興味をもち、リアルタイム血糖測定システムが大衆化することにより、糖尿病の患者さんたちがより安くセンサーを手に入れることができ、より使いやすいアプリを利用できるようになる期待をこめて、この記事を公開することにした次第です。




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*1:Garmin で表示したい場合は、Androidスマホ上で xDrip アプリを動かし、Connect IQ アプリへ送信するのが簡単です。

*2:もし2台目をペアリングしたら、元の機器は設定のBlueTooth内でBluConを削除してください。正常に通信ができなくなります。