イライラする心拍計の誤作動。その対策と理由。
ジョギングなのに200を超えたりしてると、イラッとすることありますよね。
光学式でも、ベルト式でも、それぞれに起きる理由と、対策があります。
どちらも一長一短なので、特性を理解して使い分けるのがベターです。
最新の光学式心拍計の傾向
寒くなってくると話題になるのが、【光学式心拍計の精度低下】。
光学式心拍計(oHR,wHR)は、体の表面の毛細血管をみているため、寒くなったり、高所に行くなどして、体表の血流が悪くなると、急激に精度が低下します。
また、ランニングにもパワー計が導入されるようになり、運動強度の視標としてやや劣る心拍計は、ペースやパワーにその座を譲りつつあります。
むしろ心拍は「体のリカバリー状況」を代表する視標として、睡眠中をふくむ24時間の連続測定を重視するようになっており、各社とも光学式のチューンをリカバリー重視の仕様に傾けてきています。
どうしても心拍も正確に測りたい!という場合は、心電計の一種である心拍ベルトをおすすめします。
Garmin の最新型 HRM-PRO は、BLE5.0 を同時に2台、ANT+は無制限に接続、645,745,945,Fenix 6系はランニングダイナミクス&パワーの測定も可能
Polar の最新型 H10 も、BLEを2台、ANT+も同時接続可能。Polar 起立テストに必要
です。
光学式HRの場合
光学式の精度を悪化させる事例です。
複数の条件が重なるほど、イライラする誤作動が起きやすくなります。
- 痩せ型の人
- 日焼け止めを塗っている
- 体毛が濃い
- 寒さ
- 高所
- 下り区間や、トレイルラン
- ランニング開始直後
痩せ型の体型
時計をひとつ分、ヒジの方に寄せて装着してみてください。
手首に近いほど肉が薄く、センサーに充分な血流が届かないためです。
はじめは落ち着かないかもしれませんが、そのうち慣れます。
日焼け止めの影響
センサーが接触する部分には、日焼け止めを塗らないようにしましょう。特にSpO2(飽和酸素)を測る場合は、かなり大きな影響があります。
日焼け止めには、光を吸収する成分、光を反射する成分が配合されているため、感度と精度が下がります。
特に、汗で流れた日焼け止めが、白く貯まっている場合は要注意です。
体毛の濃さ
濃い場合は、処理しておきましょう。
日焼け止めと同様に、腕の毛が濃いと、センサーを遮ってしまいます。
寒さ
気温が下がると、からだ表面の血流が減るため、精度が悪化しやすくなります。
その場合、肉が薄い手首よりも、10cmほどヒジ側に寄せて装着すると改善します。
また、ウインドシェルを羽織ったり、十分なウォーミングアップを行うと精度が安定してきます。
冬期は、ジャケットの上から時計を装着できるメリットもあるので、心拍ベルトの方が使いやすいでしょう。
高いところ
気温が低いときと同じで、体表面の血流が測りにくくなるためです。
旧機種を中心に、3,000mあたりから乱れが気になるものがあります。
根本的な対策はなく、心拍ベルトを使用するか、精度の高い新機種を試すことでしょうか。
下り区間やトレイルラン
時計が密着するよう、しっかり締めてみてください。
ゆるいと着地による振動が増幅され、心拍数としてカウントされやすくなります。
走りはじめの乱れ
ウォーミングアップをして身体を温めておきます。
寒さと関連がつよく、センサー下の血流が充分になるに従い、改善されます。
上記の条件が重なるほど精度が下がります。
どうしても日焼け止めは欠かせないけど、正確に記録したい、という場合には、心拍ベルトを使ったほうがストレスが少ないです。
ベルト式の場合
走り始めたばかりなのに、心拍数が200前後まで観測される現象に悩まされたことはありませんか?
どう考えても体調に異変がなく、すこしキツ目に締めると改善するようなら、それはベルトの劣化がほとんどの原因です。
ストラップは消耗品
カギは、ストラップの導電ゴムにあります。
ふつうのゴムは電気を流しませんが、導電ゴムはカーボンの微粉末を練り込むことによって、電気を通すことができる特殊素材です。
ところが、摩擦を繰り返すうちに、練り込まれたカーボンがだんだんと抜けてしまいます。
これが劣化のメカニズムです。
テレビやエアコンのリモコンなどが、だんだん接触不良になってくるのとおなじ理由です。
一時的な対策
しかし、この現象が起こり始めた初期なら、とりあえず次の対策で凌ぐことができます。
ECGクリームを使う
ひとつは、心電図の測定用クリームを使うことです。 このクリームは、電気をスムーズに流すので、乾燥する時期の接触不良を防ぎます。
また、保湿作用により、ベルトが皮膚に張り付くのを抑え、センサーと肌を保護する効果があります。
使い方は、センサー部を水で濡らす代わりに、うすく塗り広げるだけです。
尿素クリームを使う
専用品でなくても、ドラッグストアなどで購入できる尿素クリームでも代用することもできます。 その際は、色や香料のついていない、シンプルなものを使ってください。
こちらも使い方はECGクリームと同じですが、価格が安いので、胸部側に塗り広げてもよいでしょう。
ベルトを長持ちさせるコツ
これを守るようにしたところ、毎日使っても1年以上、トラブルなく使えています。
洗濯機は厳禁
いちばんやってはいけないのは「洗濯機で洗うこと」です。あっという間に導電成分が流出してしまいます。
見た目の変化はありませんが、洗い続けるうち、じきに不調になります。
手洗いをするときは、洗剤を使っても大丈夫ですが、ベルトの部分だけ洗ってください。センサー部は水で、優しくこする程度にします。
においの対策
汗が乾燥すると臭いが取れなくなるので、使用後はすぐに流水で洗うことをおすすめします。
また、独特の汗臭さは、ミョウバン水でかなり軽減することができます。
ミョウバン水は、アンダーウェア、ザックなどの汗臭さを抑えることもできます。
ECGクリームの使用
摩擦が劣化の原因なので、前述のクリームで摩擦を和らげることも、対策につながります。
必要以上にバンドをきつくする必要もなくなるため、ゴムの劣化も抑えられます。
根本的にはベルトの交換
以上の対策をしていても、異常値がでてきたら寿命ですので、あきらめて交換しましょう。
SUUNTO純正の交換ストラップ
以前は、Bluetooth用の交換ストラップは未発売でしたが、現在は販売されています。
Sサイズは売り切れやすいため、見かけたら早めに入手することをおすすめします。
Garmin純正の交換ベルト
ガーミンも、以前は未発売でしたが、現在では販売されています。
こちらも、サイズを見かけたときが買いどきです。
ただ、Garmin の場合には、モーションセンサーも内蔵したタイプの方が、情報量が多くとれるので、要検討です。
万能のポラール・ソフトベルト
実は、Suuntoのスマートセンサー、PolarのH7センサー系列、Garminのプレミアムセンサーは、電極間の距離はちがいますが、電極の形状が同じです。
そのため、もっとも間隔がひろいポラールのベルトを、Suunto、Garmin に流用することができます。
比較的、入手も容易です。
Suuntoの場合、センサーの中央でベルトがたるみますが、みぞおちの辺りにくるため、使用上の違和感はほとんど感じません。
ガーミンの場合、ベルト側のプラスチックをわずかに削る必要がありますが、感度に問題はありません。
ポラールのベルトは品質が高いため、わたしは好んで使っていました。
しかし、このソフトストラップは2,000円台で購入できましたが、今回のアップデートで、価格が高くなってしまいました。
謎のQ-Beau 互換ストラップ
そして、現在コスパに優れるのは、この互換ストラップです。
リングが台形なのを除けば、Polarソフトストラップそっくりです。
もちろん、Suunto Smart Sensor、Polar H10等のセンサーも接続できました。
値段も安く、質感がほとんど変わらないため、Polar ソフトストラップの後継は、これでよいと思います。