メチロンのトレラン日記

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ランニングパワー計測が可能になった!Garmin ForeAthlete 935 & Fenix 5

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Garmin ForeAthlete 935およびFenix 5に、待望のランニングパワー計測機能が登場しました。

ここでは、インストール方法やテスト結果、注意点や活用方法をまとめました。

要件とインストール方法

対象機種

この機能は、IQアプリのデータフィールドで提供されます。

そのため、Connect IQ 2.4以上 と、かつ気圧センサーを内蔵する必要があります。 現在のところ、


- ForeAthlete 935
- Fenix 5
- Fenix Chronos
- ForeAthlete 645(日本未発売)

の4機種が該当します。

必要なもの

また、上記の対応機種のほかに、いずれかのモーションセンサーが必要になります。


- HRM4-RUN
- HRM-TRI
- ランニングダイナミクスポッド

HRM4-RUNは、乳酸閾値の推定も可能になるので、光学式でも使う価値があります。

live-simply.hatenadiary.jp

インストール方法

ここでは、スマホでのインストール方法の流れを概説します。


  1. Garmin Connect アプリを開く f:id:live-simply:20180307162910p:plain:w320

  2. Connect IQ ストアにログインする

  3. 検索欄に「Runnning Power」と入れる

  4. 絞り込みを、「Data Field」にする f:id:live-simply:20180307162850p:plain:w320

  5. GarminLabs から提供される、この5つが目印です。f:id:live-simply:20180307163028p:plain
    迷ったら、Combo Running Powerにしましょう。すべて表示されます。

  6. ウォッチと同期する

  7. 時計側でランニングのアクティビティに追加する
    ラン設定>トレーニングページ>追加 から、Connect IQ内から追加できます。一般的なデータフィールドの追加と同様です。

5つのアプリの違い

どのアプリでも、記録されるデータは同じで、ワーク中に表示されるフェイスが違うだけです。
Connect IQ仕様上の制約によるもので、インストールし分ける必要があります。


1. Ruuning Power
リアルタイムの瞬間値を表示します。

2. Lap Running Power
現在のラップの平均パワーを表示します。

3.Avarage Running Power
現在のワークアウト全体の平均パワーを表示します。

4.Last Lap Running Power
直前ラップの平均パワーを示します。

5.Combo Running Power
上記4つを4分割で表示します。


このうち、ワーク中に使うのは、 全部入りの5. Combo Runnning Powerか、2.Lap Running Power です。


特に、ラップ平均パワーは、インターバルで役に立ちそうです。

心拍数には、1本めが低く、ワークが進むにつれて高くなる傾向があります。そのため、強度を一定に保つには不向きでした。

しかし、ラップ平均パワーなら、すべてのラップのパワーが揃うよう努力すればいいので、より適しています。

実際に測定してみた!

実際に、10kmほど走行してみました。

ロード編

最初に、乳酸閾値測定のビルドアップ走、ジョギングを挟んで、400mダッシュを3回ほど入れました。

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このワークでの平均パワーは、201W のようです。

さらに詳しく見るため、Web版Garmin Connect のワークアウトにて、ペースとパワーをオーバーレイしました。

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ビルドアップの終盤には300W超、キロ8のジョギングは150Wぐらい。


このように、ペースとパワーは比例関係にあり、心拍数よりも追従性が高いことがわかると思います。

TraningPeaksにも対応していた!

しかし、パワー分析をする場合、ガーミンコネクト上では十分とは言えません。

そこで、トライアスロンや自転車で定評のある、TraningPeaksを用いてみました。

TraninPeaksとGarmin のデータ連携が設定されてれば、パワーも自動的に同期されます。

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見づらいので拡大してみます。


1.ワーク概要f:id:live-simply:20180307175319p:plain:w320
平均だけでなく、最小パワーや最大パワーも。

2.パワー分析
パワーと持続時間の関係です。f:id:live-simply:20180307175452p:plain:w320
60分継続できる平均パワーがFTPです。

3.ペース・心拍・パワーのグラフf:id:live-simply:20180307175816p:plain
ペースに対し、心拍数の変化は疲労度も混じりますが、パワーは忠実に反映しているのが分かります。

トレイル編

次に、トレイルを4時間・15kmほど走ってみました。

場所は、OSJ新城32Kの一部で、前半の東尾根と、棚山ステージを省略した短縮版です。スタートから宇連山山頂までは、9kmで+1,100mあるので、登りが好きな人にお勧め。

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前述の Traning Peaks で見てみると、


1.ワーク概要f:id:live-simply:20180315111449p:plain
暑さもありましたが、フルマラソンと同程度の疲労感でした。

2.ペース・心拍・パワーのグラフ
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ペースとパワー、心拍の関係が見えてきます。

  1. 心拍を一定に保った場合のペースとパワーの関係 f:id:live-simply:20180315115350p:plain
    登り続け、疲労が貯まるに従って、ペース低下にあわせて、パワーも低下しています。
    心拍は一定でも、疲労した分だけペースが落ちるというわけですね。

    では、ペース一定ではどうでしょうか。

  2. ペースを一定に保った場合の、登りと下りのパワー
    山の登りと下りを、同じペースになるようにしました。山頂部は同じ区間を含み、傾斜はほとんど変わりません。 f:id:live-simply:20180315131204j:plain
    パワー(紫)は、上りで高く、下りで低くなっています。つまり、このパワー計では、上りと下りが区別されているということです。
    (もし、パワー一定で進むことができれば、心拍はどんどん上昇していくはずですが、ぼくにはそこまでの脚力はありませんでした)

このパワー計測は、トレイルランナーの走力・登坂力の定量化にも役立ちそうな気がします。

例えば、平坦なロードなら、キロ4分で30分走れるというように、ペースによる把握が可能です。

しかしペース管理のしにくいトレイルでは、300Wの出力なら30分持続できる、という方が分かりやすそうです。

自分のパワーとペース、パワーと獲得標高、そしてパワーと持続時間の分布を把握しておけば、レース戦略にも役立ちそうな気がします。

問題点

このように、データおたく心をくすぐるランニングパワー計測ですが、ランニング固有の問題として、以下があります。

パワー計の数値は激しく動く

ランニングは、前進とジャンプが組み合わさった複雑な動きであるため、パワー計の数値は目まぐるしく変化します。

そのため、表示は平均パワーとしてみるのが適切で、LAPで区切るなどの工夫が要ります。

自転車のパワー計と比較できない

自転車のパワー計は、ペダルにかかる外力を直接、測定する「ひずみ計」を用いているので正確です。

しかし、ランの場合はシューズにかかる力を測定するのは困難なので、仕事量を体重と加速度から求めていますモーションセンサーが必要になるわけですね。

測定のアルゴリズムが異なるため、同じパワーを発揮していても、示される数値は異なる可能性が高いです。

ただしい体重が必要

ですから、体重が正確に分かっていないと、ただしいパワーが得られません。

同じ加速なら、重い人の方がパワーが必要になるのは、直感として理解しやすいですよね。

なので、週に1回は体重を測り、ガーミンコネクトに反映させる必要があります。

じぶんにしか適用できない

さらに、ランニングフォームの個人差の影響も受けます。

長距離での平均値なら他人と比較できそうですが、瞬間最大パワーを比較するのは不適当です。

前述のように、外力を測定しているのではなく、加速度、体重と距離から仕事量を算出しているためです。

残念ながら、俺の方がパワーがある!というマウンティングには使えません。

Connect IQ 2.4以上が最低要件

これはガーミン側の問題ですが、時計のOSが、Connect IQ2.4以上となりました。

主に処理の問題なのですが、OSとアプリに非連続性ができることで、過去データとの整合性を疑問視する声も見られます。

なにより、935やFenix5じゃないとダメ、ってのが悲しいですよね、、、

どのように活用するか

となると、活用方法は、必然的に「過去の自分」との比較に限られます

次の用途には可能性を感じます。

成長を確認する

  1. 筋出力の向上:以前より、最大パワーが上昇しているか

  2. ランニングエコノミーの向上:同ペースのとき、以前より少ないパワーで走れているか

  3. ワークの進捗確認:以前と同じパワーで、ペースが上昇傾向にあるか

ワークの管理

  1. インターバルの管理:例)1本めを全力で走り、2本目以降も1本めのパワーを目標にする使い方

  2. トレイルや起伏走:強度を一定に保ちたい時、心拍ドリフトのあるハートレートよりも適切

  3. 疲労のチェック:パワーの割にペースが落ちている、主観強度と一致しないなどのチェック


こんなあたりでしょうか。





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