パワー計を使うには、FTPを知る必要があります
ランニングパワーメーターも例外ではありません
でないと『高価なおもちゃ』で終わってしまいます
そこで、基準となるFTPの求め方を紹介します
FTPとは
Functional Threshold Power の略
1時間つづけられる最大出力の平均値
心拍トレで、最大心拍数が必要なように、パワーは、FTPの何%か、で考えます
FTPの測定法
その①…1時間走
シンプルに、全力で1時間はしりつづけます。
その平均出力が、定義上のFTPですが、計測のためだけのダメージとしては、現実的ではありません。
その②…20分走
そこで、簡易法があります
20分、全力で走り続けます
その95%がFTPになります
バイクでよく用いられる方法です
その③…3分-9分走法 👉 おすすめ
現実的に取り組みやすいのは、3分-9分法です
手順の詳細
ウォーミングアップ10~15分
全力走3分
歩き5分、イージージョグ10分、歩き5分、イージージョグ5分、歩き5分
(これでほぼリカバーできます)全力走9分
クールダウン10~15分
3分、9分の平均パワーを、それぞれ求める
その2つの値を足して、2で割る
その90%が、推定されるFTPの値
Jim Vanceさんが、TraningPeaks ブログで推奨している方法で、FTP誤差は±3%以内と優秀です
測定中、高強度が占める時間は 12分。
精度が高いわりに、計測によるダメージが少なくて済むので、練習計画に影響を与えにくいメリットがある
その④…5km走・10km走の流用
Stryd PowerCenter を使うなら、5km走や10km走の結果でもOK
FTP値とFTPペースを自動計算してくれます
タイムトライアル走をルーチンで組み込んでる方にはお勧めの方法です
その⑤…パワー計測ソフトを用いる方法
TraningPeaks等のパワー分布図を使ったり、散布図にプロットしてクリティカルパワーを求める方法があります
専門的なので、項を改めます
実際に測定した結果
3分ー9分法 をやってみました
Stryd と Garmin Power Meter を 同時測定しています
Stryd と TraningPeaks
3分間の拡大
TraningPeaksでは、より正確な指標である、NP(正規化パワー)を 使えます
3分間の平均パワー・・・238W
9分間の拡大
9分間の平均パワー・・・223W
計算すると・・・
Stryd での FTPは、207W と出ました!
Garmin Connect
ガーミンだけでやるのは、すこし苦労します
Garmin Connect では、ワークアウト全体の平均パワーしか表示されないためです
そこで、スライダーを移動させ、3分・9分 それぞれの平均パワーを読み取ります
だいたいでOK
3分間の平均パワー・・・約340W
9分間の平均パワー・・・約300W
同様に、ふたつの平均値 320W の 90% = 288W
Garmin Power での FTPは 288W と出ました!
Garmin の方が、高く出る傾向があります
パワー値の使い方
FTPが出れば、あとは心拍トレと似たようなもの
以下は、Run with Power の著者、Jim Vance さんによる区分です
ジョグと全力走、それぞれのペースとパワーを読みとったのが以下:
Jim Vanceさんの表に照らしてみると、
キロ6分半は、Garmin ・ Stryd 双方とも 回復ゾーン
キロ4分半は、どちらも 高強度ゾーン
Garmin と Stryd 、対FTP比にすると、違いはほとんど無さそうです
あとは、ウォッチにリアルタイムパワーを表示し、鍛えたいゾーンをトレーニングするだけです
気をつけたいポイント
パワー計の互換性はありません
センサー取付位置・アルゴリズムが異なるため、Stryd と Garmin での パワー値には互換性はありません
Garminの場合、心拍ベルト(HRM4-Run)と、RD-pod でも、僅かな違いがあります
バイクのFTP値とは異なる
ランFTPは、バイクと異なります
分けて管理する必要があります
TraningPeaks の場合、設定>Zone から、Ruuning Power を新規作成
やり方はこちら
これで、バイクFTPと、ランFTP(rFTPw)を分けて管理することができます!
定期的に計測する
成長すればパワーも上がり、FTPも上がる
TraningPeaks を使ってるなら、TSSが 100/1時間 を越えたり、IF が 1.0を 超えるようになったら 要注意
FTPの再測定が必要です(年に4~6回)
疲れが抜けている時に測る
なので、ピリオダイゼーションしてる人は、フェーズの最初に測るよう、決めましょう
疲労を抜いた翌週がベストです
参考資料
Running With Power: How to Find Your Run FTP | TrainingPeaks
Jim Vance’s Running Power Zones | Run with Power
まとめ
パワー計を『高価なおもちゃ』で終わらせないためには、FTPの計測が必要です
「どの能力を鍛えているか」は、心拍のようにゾーンで把握します
バイクパワー計ほど精度は高くなく、どれを選んでも対FTPゾーンはそれなりに正しく算出される
数値に互換性はないため、ひとつのパワー計を使い続ける必要がある
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