スントから、Spartan に新シリーズの、Trainer が発売されました。
スパルタンを冠していますが、細かいところを見ていくと、今迄のウルトラ、スポーツとは一線を画す部分が見えてきます。
今回は、トレーナーの特徴を、従来のスポーツWHRとの比較で、紹介していきたいと思います。
開封の儀
中身は、時計の本体、USB接続の充電ケーブル、クイックスタートマニュアルとなっています。
外観は小型化されたアンビットのよう
外観は、まるで小さくなったアンビット3のようです。
タッチパネルが廃止され、5ボタンに戻り、突出したGPSアンテナをもつため、まるで親子みたいです。
充電している姿も、アンビットそのものです。
ケーブルもアンビットのものと全く同じなので、相互に流用が可能です。
素材と重量
ポリアミド樹脂の採用で56gと、スント史上、最軽量となっています。
金属ベゼルのモデルもあります。わずかに重く、3,000円ほど高めです。
ガラスまでプラスチックなので、はっきりいってトレイルには不向きです。
ですが、ガラス保護フィルムを貼れば、サファイアクリスタルとまでは行きませんが、傷の心配はしなくて済みます!
ソフトウェア
画面と操作はスパルタンシリーズ
しかし、中身はスパルタンシリーズにバージョンアップ。
操作は、スパルタンスポーツ・リストHRとほぼおなじです。
ケーブルはアンビットですが、同期アプリは Suunto Linkと、スパルタンシリーズのものとなっています。
GPSは MediaTek MTK3339 を初採用
今回、GPSモジュールの変更が行われました。
Mediatek社 の GPSチップ3339 が採用されています。
外観上はまったく分かりませんが、大きな変化です。
Suunto はこれまで、 Ambit シリーズから、スパルタン・ウルトラ、リストスポーツに至るまで、SiRF Technology. の SiRF Star というチップを使ってきました。
このチップはGPS精度が高いことで定評があります。
今回の変更により、GPS精度に差はあるのか、また、これから発表される新モデルのGPSモジュールはどうなっていくのか、気になるところです。
光学式脈拍計測にはValencell のユニットを使用
このTrainerも、Valencell社のユニットが使用されています。
緑2灯・橙1灯に受光部が囲まれた特徴のあるユニットは、スポーツWHRと同様に見えます。
しかし、トレーナーの方が明るさが抑えられており、軽量化にも関わらず、バッテリー持続時間に貢献しているように見られます。
(バージョンチェックすると、ユニットのモデルも違うようです)
睡眠チェックの搭載と24時間連続の心拍測定
また、睡眠の状態と、24時間の心拍を測定する機能が搭載されました。
時計本体には、睡眠の長さ、入眠と起床時間、深い睡眠だった時間が記録されます。
ただ、現時点では、その結果はスマホやWebには転送されず、時計本体での確認にとどまります。
また、睡眠について、良かった・悪かったという評価もなされません(この点についてはガーミン等でも同じですが)。
今後、スパルタンのリストHRシリーズにもソフトウェア・アップデートで対応される予定です。
バッテリ持続時間
GPSの受信感度で3段階となっており、
Best:8時間、Good:14時間、Ok:25時間
となっています。
Goodモード以上が、ほとんどの人で実用域となります。Okは、散歩やトレッキング程度の速度に向いています。
気圧高度計・温度計は内蔵せず
一方、気圧高度計と気温計は内蔵していません。
そのため、高度をGPSだけに頼ることになり、気圧補正を行うアンビットやスパルタン・ウルトラに比べ、獲得標高はやや不正確になりがちです。
本機種は日常的なルーチン練習に向いており、トレイルではウルトラや、発売予定のスポーツ・リスト「BARO」と、使い分けたほうが良さそうです。
Spartan Sports Wrist HRと Trainer の違い
もっとも大きな違いは、画面表示の大きさです。
現時点では、バッテリーの持続時間に大きな違いはありませんが、10月に予定されているソフトウェア・アップデートで、ウルトラとスポーツモデルのバッテリ消費が大きく改善すると言われています。
その内容によっては、差がでてくるかもしれません。
画面表示の差
特に画面は小型化され、表示ドット数も約半分になるため、表示できる情報量が少なくなっています。
まず、スマートウォッチとしての使用です。
通知を多用したい場合には、かなり画面は狭めに感じます。
一方、トレーニングでの使用は、ほとんど気になりません。
例えば、距離・心拍数・ペース・タイムの4項目程度なら、
と、画面の大きさの割に、文字をはっきりと見ることができます。
しかし、最大となる7項目を表示すると、項目の識別が難しくなります。
そのため、2〜4項目の画面を、ページ切り替えで使うのがベストでしょう。
1ページに表示したい項目が多い場合には、画面の大きなスポーツやウルトラモデルに軍配があがります。
実際に、使ってみました!
他の記事にまとめました。
気になるところ
GPS測位が少し遅い
エクササイズを選んだ後の、測位が完了するまでが少し長めで、1分ちかく掛かることがあります。
数秒以内で完了する、Ambit 3、Spartan Ultra, Sports各種 に慣れてると、「まだ〜?」と感じます。
GPSチップ変更に伴うものなのか、ファームウェアがこなれていないのかは、今のところ不明です。
ボタン操作がアンビットシリーズと入れ替わっている
アンビット時代の5ボタン操作に戻りましたが、左側のボタン機能が入れ替わっているのは気になるところです。
以下は、マニュアルにある操作ガイドです。
このように、「戻る」と、「ビューを切り替える」のボタンが入れ替わっています。
アンビット時代から使ってきたユーザには、すこし戸惑う部分かもしれません。
統一感が欲しいところです。
PCでの設定が実用的
最初に起動するときには、USBケーブルで充電する操作が必要です。
また、時計だけで全ての設定を完了することはできず、スマホまたはPCから設定をする必要があります。
スポーツモードを細かくエディットできるのはスントの強みですが、エディットはパソコン環境で行うことをおすすめします。
また、Webツール経由で行われるため、インターネットが繋がらない環境では、スポーツモードの編集ができないのは弱点です。
実売価格
2月現在、3万円台前半(ノーマルモデル)~後半(スチールベゼルモデル)となっています。
まとめ
ケーブルが流用できるため、アンビットシリーズを現役で使っている人にはおすすめできます。
日常的なトレーニングでは心拍ベルトが不要なスパルタントレーナーを、トレイルやロングレースではアンビットを、という明確な使い分けが可能です。
一方、スントのウォッチに興味がある方にも、お手軽な価格の入門機としておすすめできますが、ガーミンのように強力なコーチング機能は搭載していないため、自分でトレーニング計画を立てられる、中級者以上におすすめします。
コアなSuuntoファンにとっては、GPSチップの変更と、今後に控える既存モデルのソフトウェア・アップデートが気になるところです。
ひきつづき、追いかけていきたいと思います。
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